い ページ10
.
梅さんのご飯を待っている間、私と降谷は出されたお冷を飲みながら雑談混じりに仕事の話をしていた。
次のテロ対策とか、FBIのこととか。
あまり外で話す話でないのは確かだが、今は私たち二人と、口が固くて有名な梅さんしかいないから大丈夫だと降谷は笑った。
「おまたせしましたぁ」
どれだけ時間が経ったかなんて覚えてないが、一つのお盆に数種類の料理を乗せて梅さんがやってきた。
優しいいい匂いが鼻にすうっと入ってくる。
梅さんは私の前にお盆を置き、また台所へ向かってまたもう一つのお盆を持って降谷の前に置いた。
ほかほかと湯気だっている艶のある白ご飯に、どこか懐かしい思い出が蘇る煮物、小松菜と桃色と緑が混じった麩が入った味噌汁。
そしてほうれん草のおひたしに、小さな器にきんぴらごぼうが乗っている。
「うわぁ、美味しそう!いただきます!」
「いただきます」
「めしあがれぇ」
久しぶりのご飯にがっつきそうになったが、落ち着いて煮物を口に運ぶ。
予想通りというか、それを超えてくる美味しさというか、そんな幸福が口に溢れてくるもんだから思わず幸せな唸りが出てきた。そんな私を横目に、降谷も顔をほころばせて梅さんの料理を美味しそうに食べていた。
パクパクもぐもぐと止まらない箸に任せて美味しい料理を食べ終え、ぱちんと手を合わせて挨拶をし食事を終える。
梅さんはお粗末さまでした、と微笑んで私たちのお盆を下げた。
「ところで、どうして一見さんお断りなんですか?」
「んー、そうねぇ、深い理由はないんだけれど」
お盆を下げ終え、また前に出てきた梅さんに話しかける。
こんなに
美味しくて、優しい料理が数少ない人にしか食べられないなんて、なんかもったいないなって思って。まあプレミア感は出るんだけど。
「お爺さんがまだ生きていた時から、こんな感じだから。変えたくなくってねぇ」
「そ、だったんですか」
「ふふ、ほんと私とおじいさんは仲がよくってねぇ。きっとあなた達も私たちみたいに、最後の時まで仲良くやっていけるわ」
「まだ最初のスタートラインにも立ててないんですけどね」
「あらぁ、それはそれは」
んふふ、と笑う梅さんに頭を傾げた私だが、その後降谷はごちそうさまでしたと言いながら二人分のお金を払い、行くぞと手を引いた。
私は最後に梅さんにおいしかったです、ご馳走様でしたと言って降谷に腕を引かれながら店を出た。
.
ラッキーアイテム
革ベルト
366人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» ありがとうございますえへ にやけが止まらないなんて、なんと嬉しい褒め言葉! (2021年2月14日 18時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - うへへ、好きです。にやけが止まらん。 (2021年2月14日 16時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - かきくけこっぺぱんさん» ありがとうございます!可愛いなって思ってもらえるようにかいたので嬉しいです!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
かきくけこっぺぱん(プロフ) - かわいい…!降谷さんも夢主ちゃんも!楽しませていただきました! (2020年2月16日 22時) (レス) id: b3b5ecba31 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 世界の髪飾りさん» めっちゃんこ嬉しいです!こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年5月21日 16時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年5月16日 20時