８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

１９７億 ページ10

Aside


私が一人で戦う覚悟を決めて、少しすると何故かどんどん私の容疑が晴れていくような証拠が出てきた。

これは公安の仕業ではない、強引な感じはしないし、確実に、おかしなところをついてくれているような…。



「鍵穴についていた粘土のようなものに、貴方の靴跡が被害者の部屋から自分の部屋に戻っていないこと、返り血がついた服が見当たらない、そして他の住民から聞く限り被害者との関係は友好的…動機、がない」



先ほどまでおかしな程でなかった証拠が今、ぽんぽんと出てきた。

まるで誰かが後押ししているように。

ここから身動きが取れない私のために、誰かが証拠を探してくれているかのように。

疑惑が晴れるものが出てくるたびに、取調官はなんとも気まずい顔になっていく。



「私、犯人じゃないんですよ」

「……」

「動機ないし。私がアリバイがなかったことは確かです。だって監視カメラ壊れてたし。
でも、さっき頼んであった植木鉢、私の新しい指紋が出たって言ってましたよね」



私が携帯を探す際に植木鉢をずらした時のだ。

その時私の指紋がついたはず、少しは疑惑が晴れるかもと思い頼んでおいて正解だった。



「私の疑惑はどんどん晴れて行ってますね。
真犯人の要素がどんどん濃くなるにつれて、ね」



ほら、早く私を解放しろよと言わんばかりの顔で、取調官にニッコリと笑みを向ける。

確信がなくなってきた私を、ずっと警察署に置いておくことはできないはずでしょ。

監視はつくかもだけど、身動きはとれるはず。

あとは、やる事が決まってる。



「とりあえず、私の警察手帳は見なかったことにしてください」

「は」

「見つけた人も、全員。きっとそうせざる得ない状況になると思いますけど…、とりあえず私、外出れますよね」

「い、いや待てまだ四年前との事件がっ」

「そんなもの、私がここにいても解決しませんよ。
時間はお金で買えません、買えないものを無駄に消費させないでください」



金はあったって時間は巻き戻せない。今この時間を、有効に使わせてほしい。

私は犯人にはめられた、私を犯人にして、自分の逃げ道を作るために。

やっぱり、四年前と同じやり方だ。

四年前、家族を殺した殺人犯も、犯人をどうにかでっち上げて、捜査をうやむやにしていまだ捕まってない。

なら、ならば



「今度こそ、捕まえてやる」




私が、今度こそ捕まえる。


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