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225億 ページ38

降谷side


目が覚めるとそこは真っ白な空間だった。

病院でもなく、どこでもなく、きっと精神世界に似た…夢の中のようなところ。

地面はどこまでも続いており、その中で一本の地面と同じくどこまでも続いている赤い線が引かれてあった。

その線を踏み越えようと足を浮かせた時、「ゼロ」という懐かしい声が聞こえた。




「……ヒロ?」




声が聞こえた方に顔を上げると、そこにはもうこの世を去った同期四人が、線の向こう側で笑っていた。

反射的に四人の方へ向かおうとするが、伊達に「まだ来るな」と言われる。




「早ぇよ、お前がこっち来んのは」




そう、グラサンを外しながら憎たらしく笑う松田。




「お前まで来てどーすんだよ」




懐かしい笑みを浮かべて、俺をバカにするように笑うヒロ。




「まだあいつに伝えてないこと、あるんだろ?」




なんにも考えてなさそうな、明るく馬鹿みたいに笑う伊達。




「頼んだぞ、降谷」




そして最後に、目を細め笑うハギ。

どれも懐かしく、酷く心を締付ける。




「…俺には、」




そうだ、俺にはお前の代わりなんて務まらないよ、ハギ。

伝えたいことがあるなんて言ってしまったけれど、俺にはお前のようにアイツを……。




「Aを、頼んだからな」





顔をふせた俺に、ハギはどうでもいいかのように明るい笑顔で笑い飛ばしながら言った。


自分がつくった幻だとは分かっているんだ、でも、なんだか目が熱くなって、視界がぼやける。



そんな中、俺は白い光に包まれていく。

最後に見たアイツらの顔は、俺を後押しするような、優しい笑顔だった。





次に目を覚ましたのは病室だった。

口元には酸素マスクが付けられており、腹部には痛みが走る。


酸素マスクが邪魔で取り外し起き上がろうとしたが、足元に重みがあり簡単におきあがれなかった。


視線を下におろすとそこには、夢の中で出会った人に託された、愛しきものの姿があって。


足元の違和感の正体は、栃木だった。


.

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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/  
作成日時:2019年4月5日 11時

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