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Aside
「あなたは私が四年前の被害者の家族だと知って、私に罪を被せようとしたの?」
じっと彼の目を見て、問う。
あなたはどうして人を殺すの。どうして私を選んだの。どうしてあの時私の家族を殺したの。
「は、はは!!お前があの家族の!!知らなかったよ!!はは!!」
蟻貝さんは、いや殺人犯は片手で顔を覆うようにして狂ったように笑う。
腹を抱え、まるで何かの喜劇を見ているかのように。
「俺が人を殺すのは、楽しいからだよ」
「…っ」
それがすっと収まり、揺れた私の目を感情の無い目で見つめた。
楽しいから、殺す。
そう言った彼は、きっと人間じゃない。化け物だ。
ふつふつと怒りが湧いてきて、握る拳の力がさらに強くなる。
そんな私をみて、殺人犯はまた口元を緩めた。
「俺は、捕まってなんかやんねぇよ」
腰あたりから、黒い鉄を取り出すのが見えたが、それが銃だということに気づくのは、少し時間がかかった。
自 殺でも測るのかとたじろいだが、その銃先が向いているのは
「ここにいる人間全員殺して、逃げてやんよ。まずはお前から、死んだ家族の元に返してやる」
私だった。
イカれた目に、イカれた思想。
瞬時に飛びかかろうとした周りの警官達。
しかし殺人犯はその引き金を躊躇なく引く。
やばい、もうだめだ、死ぬ、って純粋に思った。
これからくる鋭い痛みに心の準備を呑気にしてみるが、その痛みは来ることはなく。
その代わりに、どんっと言う軽い衝突音と肩への鈍い痛み。
「ま、ってよ、なんであんた…っ!!」
私の前には大きな影。そして地面にポタポタと落ちていく真っ赤な血。
倒れることなく、足を踏ん張り、ぐっと痛みに耐えている降谷が。
私はギリッと歯を食いしばり、殺人犯が銃を撃ちはなったことで怯んだ警官たちより早く、男の顔面を殴りに行った。
鈍い音が出るほど殴った拳は不思議と痛みはなく、殺人犯は吹っ飛ばされ、その際に銃は手から離れる。そしてその銃を遠くに蹴り飛ばす。
ううっと唸る犯人に強めの蹴りを溝内に食らわせ、意識を飛ばしたあと、膝を着いた降谷の元へ駆け寄った。
「ふ…!安室さん!!」
こんな時に、本当の名前が呼べないなんて。
綺麗に貫通した横腹。血は焼けて今すぐ大量出血で死ぬなんてことはないだろうけれど、早く、見てもらわなきゃ…!
もう大切な人が死ぬなんて、いやだ。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時