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Aside
ふう、と一息ついていると、コンコンっとベランダのガラスを叩く音がした。
ここは二十二階…ガラスを叩く音が聞こえるのは、だいぶ、おかしい。
私は持っているボールペンを掌で握りしめ、ベランダの戸を隠しているカーテンを勢いよく開いた。
「……鳩ぉ?」
外には、真っ白な鳩が一羽だけいた。
その鳩の脚首には何かついていたので、私は警戒しながらもベランダの鍵を開け、その鳩に近づく。
「こんばんは、Aさん」
「んぎゃっ」
ぽん、とその場から白い鳩は消え、代わりに白い服を身にまとった月下の奇術師がいた。
驚きすぎて、口をパクパクさせて、キッドをただ指さすだけの形になってしまう。
「あはは、驚いてる」
「え、これで驚かない人どんなハシビロコウ?」
「ハシビロコウは人じゃなく鳥ですよ」
「いやわかってるけど…!」
なんで、と呟くとキッド…黒羽快斗君はパチンと指を鳴らし、何も無い空間から何か書かれた1枚の小さな紙を出す。
それを私に差し出してきた。
「…これは?」
「大変、でしたね。俺も何か手伝おうかと思いまして。…少しばかりヒントを」
「…組織かなにかの名前?この組織が関わってるってこと?…確証は」
「さあ、それはAさんが信じるかどうかですよ」
『BOMB』と言う組織の名だという綴りの隣に、『臓器売買』という言葉が添えられていた。
これは、イタズラに私へ渡した情報だとは思えない。きっとどこかで確証を得ることがあったのだろう。深くは聞かないけど。
でも、それだとしても、どうして私に協力してくれるんだろう。
「Aさん」
「なーに」
「俺がこうやって手を貸すのは、正直なところあなたに貸しを作っとこうかと思ってまして。あなたは律儀に借りたものは返すでしょう?」
「まあね」
「…それと、ただ単に、俺があなたに力を貸したいと思ったからです」
キッドはそう言って、ニッと笑いベランダの塀の上に軽々と立つ。
「さっき居た金髪のイケメンさんとお似合いですね。それでは健闘を祈ります、Aさん」
「ちょっ」
なんで降谷がいたことを知っているのかを問い質す前に、キッドはその場から飛び降りた。
待ってそもそもまずなんで私の部屋知ってんの?
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時