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降谷side
それから一週間。
俺は完治したわけじゃないが、退院することになった。
それを栃木に電話で伝えると、ほんと人間じゃないと笑われたのがいまさっき。
電話越しでもわかるけれど、栃木はすごく疲れているようだった。
戻ったすぐ心配されたけど、心配されたのは束の間どっさりと休んでいたぶんの仕事とペナルティの仕事を押し付けられた、とかわいた声で笑っていた。どんまい。
「なぁ、次いつ会える」
『…公安来たら会えるんじゃない?』
電話はまだ続いており、いつ会えるかとえば乗り気でない声が返ってきた。
今公安に行けば会えるのか?
いや、お前は今そこにはいないだろ。
「今休憩中か」
『…あー、うん。ちょっとね』
「外に出てるんだろ」
『あ、はは、うん』
電話口からは、風の音が聞こえて室内ではありえない雑音が聞こえる。
それにしても、栃木は今俺に会いたくないみたいだ。
……俺が伝えたいことがある、そういった時から。これは自意識過剰では無いはず。
「今から会いに行くから」
『え、ちょ、病み上がりじゃん!てか私がいるとこ分からないでしょ!?』
「教えてくれないのか?」
『…〜っもー!!ケンのとこ!!来れるもんならこいや!バカ!』
最後に毒を吐かれながら、ブチッと切られた通話。
アイツ、ハギのところって言ったか?なんで?
とりあえずハギの墓がある場所へ行くかと、用意しておいたRX-7に乗り込んだ。
もう色んな言い訳して逃げたくないんだよ、お前から。
ここからそこまで遠くは無いので、俺は車を走らせ、栃木の元へ向かった。
「…栃木」
「……うわぁ、マジで来たよ怪我人が…」
栃木がいたのは、墓が集まったところから少し離れた広場のベンチ。
そこに俺の分のコーヒーも用意して、座っていた。
「ん」
「ありがとう」
そのコーヒーを受け取り、かしゅっと軽い音をさせ開ける。
同じタイミングでコーヒーを飲み、一息つく。
「…それで、話って?」
「好きだ」
「待って急すぎる」
俺の言葉に栃木はその場を立ち上がって、俺から距離を取った。
栃木の顔は、今まで見たことないくらいに真っ赤に茹で上がっていて。
その顔をなんとか手で隠そうとする栃木を見て、俺は思わず笑みが零れた。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時