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Aside
「今何か隠したでしょ」
「その前に何か言うことは無いのか」
「家まで送ってくださりありがとうございましたっ!」
直ぐに状況を察し、さっと体を起き上がらせて頭を下げる。
私は同僚の前でスヤァっと寝て、挙句の果てには自分の安全を全て任せて家まで送ってもらった。
とは言っても人の家のものを勝手に漁るのはよくないと思うんですよね、私。
「……もしかしてアルバムみてた?」
「……すまん」
「ま、いいけどさ」
別に見られて困るような写真はとってないし、と付け足し1度起き上がる。
そんな私を見て、隠す気をなくした降谷はアルバムをそっと持ち上げ、棚に戻した。
「…ねぇ、その隣のさ、アルバム見てみ」
「いいのか?」
「うん、大事に見てくれたら」
降谷は一度私を見つめると、そのアルバムを取りだし開いた。
「……これは」
「なんか、懐かしいよね」
降谷が開いたアルバムの中には、私がポアロで働き出してから撮った写真を綴ってある。
梓さん、園子ちゃん、蘭ちゃんに毛利さん。
平次君と和葉ちゃんが来た時に撮った写真に、少年探偵団が遊んでいるときを撮った写真。
ずっと前だけど、奇跡的に沖矢さんとコナンくんたちと会った時にとった二人のマヌケ顔と、ムスッとした降谷に余裕な笑みを浮かべている沖矢さんに挟まれ、ニッと笑顔を浮かべている私の三人が写った写真。
他にも、私がポアロに客として行った時に撮った、休憩中の降谷と梓さんだとか。
恥ずかしいそうに笑ってお互いの肩を寄せあっている、高木刑事と佐藤刑事だとか。
いっぱい、いっぱいみんなの笑顔を撮ったな。
その笑顔を、私は守りたいと何度思ったか。
今はいない、大切な人の笑顔も、守りたかったのに。
「……これ、捨てろよ」
「いやだよ、レアなんだから」
降谷は自分と沖矢さんと私が写った写真と、自分と梓さんが写っている写真を手に取った。
ダメだよ、ほんと。
降谷がいたって証拠、残さなきゃ。
公安的にダメなのは充分わかってる。
でも、それでも
「大切な写真なんだから、大切に扱ってよね」
大切なものはもう何一つ失いたくないの。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時