233Q ページ45
Aside
時間は過ぎて、夏休み最後。
監督が言っていた通り、今年は二回合宿を行った。
二回目は夏休みの最後の週に山へ、海と同じくらいきつくてまた死ぬかと思ったけど、無事最終日まで生きることが出来た。
「さあ始めるわよ!肝試し!」
「…!?」
今日で最後かと部屋でくつろいでいると、いきなり監督が入って来てそう言った。
きもだめし、肝試しって言った?なんで?
「うちのバスケ部では夏合宿の最後は肝試しってことになってんだよ。
合宿の最後ぐらい…少しは遊びも必要だって主張したヤツがいてな」
日向先輩は小金井先輩に視線を向けて言うと、彼はえへへと笑った。
わらえない。
監督は肝試しをやる所を決めておいたと俺たちの前で仁王立ちである。何とも楽しそうな顔をする監督を、俺は真顔で見つめていた。
さっさとくじを引けと言うので言われた通りにくじを引く。俺は降旗と同じペアになった。
それから監督が用意したという肝試し会場に、今回の合宿でお世話になった民宿から山道を三十分ほど登って行った。
「こ…これは…」
目の前に現れたのは、完全な廃墟。
なんの手入れもされていなくて、壁にはツルが絡まり、不穏な空気が流れている。
一言で言うと、でそう。何がとは言わないけど、でそう。
「明らかに廃墟だぞ!こんなとこ入って大丈夫なのかよ!?」
「大丈夫大丈夫。宿の人に聞いたら問題ないって言ってたから」
「問題ないって…」
カラスがギャーカーと鳴いている廃墟を見つめる。
監督は夕方に一人で入って問題なかったから大丈夫だと言った。
一人で入ったの?すごいな監督、流石だな監督。
俺たちは一番最後に入ることになっているので、次々と入っていく皆を見送っていた。
さっさと終わらせたらいい、プロテインの空き缶を取ればそれで終わる。
監督に俺たちの番だと言われ、たった今送り出された。
「…降旗さぁ、こーゆのいける人?」
「別に得意ってわけじゃねーけどさ。筋肉痛ヤバくてそれどころじゃないというか…。
ま、長崎ってこーゆの大丈夫そうだから、気持ち的に楽だわ!」
「そっかぁ。それは気持ちに答えられなくてごめんねぇ」
「え?」
「おれ、こーゆの、ダメな人」
「……えぇー?」
俺はギュッと降旗の袖を掴んだ。
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こたきんぐ(プロフ) - Lawさん» ありがとうございます!お待たせしました…、がんばりますっ (2020年5月24日 10時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
Law - とても面白いです!続きが気になります!頑張ってください! (2020年5月13日 0時) (レス) id: 6c5845ecc3 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - れすれさん» ううありがとうございます……続編までしばしお待ちください…!!頑張ります!!! (2020年3月11日 9時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
れすれ(プロフ) - とても面白いです!!もう何回も読み直してます!応援してます。頑張ってください!!!! (2020年2月24日 9時) (レス) id: de6337fd23 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!出来るといいな…。手作りいいですねぇ、私も手作り食べたいです!多めに買うのあるあるですねw続編は少々お待ちをっ! (2020年2月15日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2018年11月2日 20時