黄瀬涼太の幼馴染みだからと言って、同じ高校に行くとは限らない。Fifth【黒子のバスケ】

２３０Ｑ ページ42

Aside


母に用事を貰った。
用事を貰ったと言っても、ただ自分の服買ってこいとの事。
普通に学校へ練習しに行っても良かったんだけど、そろそろ買う時期になったし。
だから俺は電車に乗って三十分の服屋へ行く。

その近くにストバス会場があるんだってー、わあなんという偶然。

朝早くから出て、さっさと服を買いストバス会場へ俺は向かう。すると丁度、誠凛とどこかのチームの試合が始まろうとしていた。




「……ん！？」




その前に普通の人より頭一個分出ている紫色の髪をした彼を見つける。
あれ、彼は確か秋田の高校に行ってたはずで…。あ、インターハイが昨日までだったから？いるってこと、なの？

えぇ…と一人驚いていると、彼はコート内で上に投げられたボールの上に、持っていたまいう棒を投げて上手く乗せた。

そんな技どこで習得したのっ。




「ゴメ〜ン、ちょおおっと待ってくんない」

「遅いぞ、敦」

「悪い悪い迷っちゃって」

「…お久しぶりです、紫原くん」




秋田の高校、陽泉高校に行った紫原敦。あっくん。

彼は黒子の存在に気づいて、何か言ってから黒子の頭をわしわしと撫でた。
それを気に入らなかった黒子はあっくんの手を弾く。

相変わらずあっくんはお菓子ばかり食べているようで…相変わらずそれで身長が大きいな。また伸びたみたい。

なんだか反射的にバレないよう人の後ろからその場を覗く俺。
でも話し声は聞こえてくる。




「あー、だって俺出てねーし」



そんな言葉が出てきた。
話の流れからして、インターハイの試合の話か？と耳をよくすます。




「てゆか、赤ちんが言ったからそうしたただけだし」




どくん、と心臓が激しく鳴った。

あっくんは、赤司が開花してしまったあの日から赤司の言うことはちゃんと聞くようになった。

赤司が言ったのか、試合に出るなって。
なんだか想像つく、おもしろくないだろ？なんて言ってそうだ。

あの、赤司なら。


気づけばあっくんと、もう一人のイケメンな彼が先程とは違ったチームで誠凛と戦おうとしていた。

試合が始まり皆真剣。




「…なん、か」




試合を見ていて、胸がざわめくような感覚に陥る。

試合を、あの、あっくんと一緒にバスケをしている彼を見ていて、…何故か俺自身と重ねてしまった。

少しして、火神とあっくんの1on1が始まろうとした時、突然の雨。


一応持ってきていた折り畳み傘をさして、一人ぽつんと彼らを見ていた。



.

２３１Ｑ→←２２９Ｑ

ラッキーアイテム

長崎君の枕

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す