黄瀬涼太の幼馴染みだからと言って、同じ高校に行くとは限らない。Fifth【黒子のバスケ】

２０９Ｑ ページ21

Aside


第４Ｑが始まるアナウンス。

電光得点板には、八十二対五十一の数字。

そして明らかおかしい、火神の足運び。
…これは、悪化したのか？完治したはずだって…、いや、これはその足を庇って…。


監督も気づいたようで、火神を下げた。


…決勝リーグはあと二日あるけれど、火神は出れるんだろうか。

……嫌な結果しか、思い浮かばない俺の頭が大嫌いだ。



火神もいない、黒子のミスディレクションもきれた、選手のスタミナも限界に近い。

そして何よりも、残り五分の状態で桐皇と四十点差。




「まだ、終わってません」

「バスケに一発逆転はねーよ、もう万に一つも…」

「可能性がゼロになるとすれば、それは諦めた時です。どんなに無意味と思われても自分からゼロにするのだけは嫌なんです。

だから諦めるのだけは絶対、嫌だ」





こちらの圧倒的不利な状況。

それでも目に光を絶やさない黒子。

そう、だよね。まだ、終わってないもんね。

…やっぱり俺にとって、その黒子の輝きが、何よりも眩しいよ。




「声出せ！最後まで！
中の選手が諦めてねーんだぞ、黙って見ててどーすんだ」




コート上まで聞こえる、小金井先輩の声。

そしてさっきまでお通夜状態だったベンチからは、前半戦と同じくらい、いやそれ以上の声援が聞こえた。




「お熱いな、お前のチーム」

「……っふ、でしょ」




俺も、負けてらんないな。

蘭を本日何回目か分からないけれど、鋭く睨んで、ボールを取りに行く。





誰一人諦めず、全員が最後まで戦った。

それでも点差は開き続けた。

けれど、みんな涙は出なかった。




その日俺達は、それほど圧倒的に、負けた。



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