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Aside
「Aさんって、彼氏さんいたんですねっ!」
「えっ」
ポアロにきて、梓さんから一番最初に言われたのはその言葉だった。
本当は今日、梓さんと降谷がシフトだったんだけど、梓さんが結構大切な用事が出来て、私が途中から代わりに入ることになった。
そして、入れ替わるときにこの言葉を言われたのだ。
彼氏、いたんですね。
私は瞬時に脳を動かし、その言葉を理解する。
…あぁ、高木さんがあのことを言ったんだな、とすぐわかったけれど。
「…あはは、それ誰から…?」
「風の噂です!言ってくれればよかったのにぃ…」
「ごめんなさい、梓さん」
にへへ、と笑って何とか流す。
上手く流して、私はまだだれもお客様が来ていない表にでた。
梓さんは先ほど帰られました。
「おはようございます、安室さん」
「おはようございます、Aさん」
いつも通り、にっこりと笑って挨拶を交わす。
降谷は相変わらず、今日も上手く安室透を演じられているみたいだ。
それからいつも通り、いつものバイト通り私達は笑顔を振りまき仕事を終わらせた。
そしてまた、静かなお着換えタイムに入る。
「……」
「……」
お互い無言で黙々と着替えを終える。
私はちょいちょいっと手鏡でピンの位置を直し、カバンを持った。
そんな私を、降谷は止める。
「Aさん」
「…何ですか、安室さん」
今は二人きりのはずなのに、降谷は私のことを名前で呼んだ。
降谷の時は、名字で呼ぶから、今は降谷じゃなくて安室なんだと一人解釈する。
「風見さんと、お付き合いされてるんでしたっけ」
「…だったらなんなんですか」
この前の、赤井さんとの会話が脳内をよぎる。
意識なんてしなくていいのに、でも、でも仲直りはしたい。
けれどできないのは、降谷に甘えているからだろうか。
アイツが、先に謝ってくるだろうって。
「それ、本当ですか」
「貴方には関係ないですよね」
「関係、あります」
最後に連れて、徐々に小さくなる声。
思わず逸らそうとする降谷の目をジッと見つめてしまう。
「…風見は、俺の部下だから」
「…あっそ、あっそ!そうですかそうですか、そんなに部下が大切ですか!部下の恋愛事情まで気になりますか!はいはいでも降谷には関係ないし、風見さんに直接聞いて!!」
ふん、と鼻から息を吐いて再度ギュッとカバンを握り外に出る。
なんだよ、なんなんだよ。
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さち - おもしろくて続きが気になります。よろしくお願いします。 (2019年4月6日 16時) (レス) id: a3a6f8d111 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - はなさん» はじめまして!ありがとうございます(/ω\)私生活に落ち着きがもう少しでできるので、がんばって、更新します! (2019年3月15日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - はじめまして!一気に全部読んでしまいました!とてもドストライクなお話で素敵すぎて大好きです!!更新とても大変なことだとは思いますがこれからも応援しています♪ (2019年3月15日 12時) (レス) id: 43ab538aea (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - れさん» ありがとうございますっ!近いうちに更新させていただきます!頑張ります! (2019年2月12日 20時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
れ - 全部一気にみちゃいましたら!凄いおもしろいです!待ってます、つぎの更新! (2019年1月20日 19時) (レス) id: de813ae323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2018年9月8日 14時