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Aside



「…そんな顔して言うなよ」

「う、うるさいな。なんか恥ずかしいんだよ」




馬鹿野郎、と呟きキっと睨む。

そんな私を降谷はふっと笑い、私の頭に手をのせた。





「本当に、すまなかった。ガキみたいに、俺は意地を張っていたのかもしれない」

「…私達、まだまだ成長できるのかもね。二十九にもなって、喧嘩して、多分仲直りして」

「…やはりお前は甘い。阿保みたいにな。もっと、このことに関しては怒ってもいい」

「十分怒ったよ」





にしし、と笑う私の頭を降谷が撫でる。


なんだかんだ、降谷と喧嘩していると心がモヤモヤしてた。

それでいいのかと、心の中でずっと問われ続けていた。

もし、喧嘩したままで、どちらかが命を落としてしまえば絶対に後悔して化けて出る。

これでよかったのだ。どんなあやふやだって、どんな流れだってノリだって、仲直りは仲直りだ。


降谷は私の頭を撫で続ける。





「降谷?撫ですぎ、ポアロでこんなことしたら炎上するわ」

「ここはポアロじゃない。休憩室だ」

「まぁねー、降谷ってば私のこと好きかよー」

「ああ好きさ」





あははーっと冗談で、流れで言ったはずなのに。

いやきっと降谷も冗談のはずだけど、返ってきた返事に思わず体が固まる。固まる以外あるのだろうか。

そして赤井さんの言葉がまた、脳内に流れた。


『その大切な理由は君と同じだろうか』


ぼふっと柄にもなく、顔が赤くなる。

私は大人だ、高校生じゃない。あんな青春時代はもう終わったし、ときめくなんてもうそんな年じゃない。


それに…、どこか、罪悪感がある。





「…、っふ。どうした」

「あ、や、その…それって」

「おっと、すまない。今から会議だ、行ってくる。次はポアロでな」

「ちょっと降谷ァ!?」





じゃあな、と私に手を軽く振って休憩室から出ていく降谷を私はただわなわなとしながら見送ることしかできなかった。


降谷の気持ちが、わからない。



…私の、気持ちも。


.

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さち - おもしろくて続きが気になります。よろしくお願いします。 (2019年4月6日 16時) (レス) id: a3a6f8d111 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - はなさん» はじめまして!ありがとうございます(/ω\)私生活に落ち着きがもう少しでできるので、がんばって、更新します! (2019年3月15日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - はじめまして!一気に全部読んでしまいました!とてもドストライクなお話で素敵すぎて大好きです!!更新とても大変なことだとは思いますがこれからも応援しています♪ (2019年3月15日 12時) (レス) id: 43ab538aea (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - れさん» ありがとうございますっ!近いうちに更新させていただきます!頑張ります! (2019年2月12日 20時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
- 全部一気にみちゃいましたら!凄いおもしろいです!待ってます、つぎの更新! (2019年1月20日 19時) (レス) id: de813ae323 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/  
作成日時:2018年9月8日 14時

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