黄瀬涼太の幼馴染みだからと言って、同じ高校に行くとは限らない。Fourth【黒子のバスケ】

１８１Ｑ ページ42

Aside



生邦戦。俺はスターターではない。

試合が始まって、少し経った。


やはり正邦は強くて、今は向こうが十二点で、こっちがゼロ。

流石にヤバいし、火神も抑えられている。

火神は軽く津川君に挑発されてて、ファウルを貰ってしまい頭に血が上っているようだ。
黒子も相手のディフェンスのせいでパスコースがなくって、自分の特性を活かせてない。


監督はこの状態はまずいと察し、タイムアウトを取った。




「正邦は古武術を使うのよ」




古武術とは、古武道と同じ意味なんだけど日本の伝統的な戦闘に関わる技術を体系化したものの総称。

正邦は、その中のナンバ走りをバスケに取り入れていて、エネルギーロスを減らしているらしい。


…うーん、手強いな。





「とりあえず、長崎君行って。もしかしたら流れが変わるかも。水戸部君と交代ね」

「はい」





監督に言われ、俺は早速ベンチから立ち上がる。

アップは最初に取っているのでまだ体は温まっているまま。


タイムアウトの時間が終わり、俺達はコートに出た。

俺には先ほどまで水戸部先輩がついていた相手選手がついていて、なんとも鬱陶しい。

俺が少しイラついている中、火神は津上君に１on１で抜いたみたいで。

この調子がそのまま続けばいいんだけれど…。




「…んー、動けないなっ」

「…ふっ」




ボールを持っても動けない。

パスを出したくても相手選手がかぶって出せる人がいない。

でもずっと持っていると中学の涼太みたいにオーバータイムを貰う。




「あーやだなぁもう！」




俺にしては珍しくイライラしながらボールを相手の股の間で激しくバウンドさせ、隙を見つけ、抜く。

本当に褒めてほしい、この引っつき虫からボールを守ったんだ。


そのまま俺はシュートを打つ体制になり、３Ｐを決めた。なかなか上達したものだ。


それから火神が三つ目のファウルをもらった、まだ１Ｑだというのに。




しかし黒子のパスのおかげで、なんとか１Ｑは同点で乗り切った。


.

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