８億当たったんで、仕事休みます。【名探偵コナン】

３４億 ページ36

Aside



「…やっぱり、私のこと信じれない？」

「…っ、僕の中のAさんは、人の嫌がることするような人ではないと思ってる」

「うん、ありがとう。コナンくんが思ってくれてる私を裏切らないようにするね」



へらっと笑う私を、哀ちゃんは小さく息を吐き、博士は大袈裟に大きく安堵の息を吐いた。

コナンくんは気まずそうに頭をかく。




「それにしても不思議だね、どうやって毛利さんの声出てたの？声真似？」

「……声真似じゃないよ。この博士が作ってくれた蝶ネクタイ型変声機でおっちゃんの声を出してたんだ」




最初言うか言わないか迷っていたコナンくんは、ここまで来たら誤魔化しても意味が無いと気がついたのか真実を話してくれた。
その隣で自慢げに花を鳴らす博士がいたので思わず小さく笑ってしまう。




「毛利さんが、眠るのってコナンくん関係してるの？」

「まあね、この腕時計型麻酔銃でパシュッと」

「躊躇がない！本当に小学生か！？」




コナンくんが当たり前のように言うので思わず叫ぶと、彼は苦笑いをうかべ慣れだよ、と答える。余計に年齢を疑うんだが。

まあ人間が若返るなんてありえない話だし、コナン君はただの天才小学生なんだろうね。

それにしてもそんなものを作る博士自体もすごい人だ。




「さて、今日私がAさんをここに呼んだ理由は江戸川くんの件についてだけじゃないの。
Aさん、貴方一体何者かしら」

「私が何者かって？えー…何者っていう程の者じゃないんだけどな。強いて言うなら喫茶ポアロにいるただの店員かな？」




うーん、と考えながら頭をひねる。

大人っていうのはね、嘘をつくのにどんどん慣れていくのだ。個体差はあるけど。




「僕も、不思議だったんだ。
回し蹴りを平然と人に当てて、さっきの事件の凶器を推理して見せて…それがただの喫茶店の店員さんなのかなって」

「ただの店員以外なにがあるのー。蹴りも推理もどきもどちらも趣味からよ」

「趣味？」

「蹴りは漫画とか、アニメとかドラマとかをテレビで見て覚えて。あの推理もどきはね、私『シャーロックホームズ』が大好きで憧れているから、ちょっと口出ししたかっただけ」

「Aさん『シャーロックホームズ』好きなの！？マジ！？おい灰原仲間いたぞ！」

「あら良かったわね」




素直に喜んでいるコナン君を見て、思わず頬が緩む。
いや本当単純にかわいいのだ。



そして哀ちゃんのコナン君の交わし方が熟年夫婦並みでまた可愛い。


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