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Aside
「いったいどこに行ってたんですか栃木さん!…降谷さん達、ほんと大変だったみたいですよ」
「そして風見さんは降谷の八つ当たりを受けたと」
「その通りです」
だから返してください、と風見さんはため息を吐きながら手を出してきた。
風見さんとは仕事をしている時会うタイミングが何度もあった。
降谷の直属の部下だし、一緒に働いたりするのは必然だったのだ。
そしてたまに一緒に飲みに行くこともあった。
私から必ず誘うんだけど、最初は遠慮気味でもお酒が入ると次第にポロリポロリと愚痴等の本音をこぼしてくれていた。
また許してくれるなら飲みに行きたいものだ。
「大丈夫、降谷とはもう会った」
「え、ほんとですか?」
「うん、バイト先が同じだってね。…後一か月くらい休暇貰うことになってるからそれまでは皆には内緒ね」
「…相変わらず降谷さんは、栃木さんに甘いですね」
「甘いかなぁ?アイツ自分の仕事の四分の三私にやらそうとしてるけど」
「あ、丁度今から一か月後の報告書の量、凄かった気がします」
「降谷は私に死んでほしいのかな?」
アイツの腹が立つイケメンスマイルが脳内にチラついた。
あーやだやだ、また逃亡してやろうか。でもそろそろ本当にクビになりそうなので、大人しく一か月後には帰るけど。
「…そういえば、降谷さんからあの方のこと既に聞かれましたか?」
「? あの方って誰のこと?」
「…伊達航さん、のことです。この前降谷さんの独り言をきいてしまって。いい加減話さないといけない、と」
「……伊達?」
風見さんの口から伊達の名前が出たことに驚く。
なんだか嫌な予感がして、背筋が寒くなった。
「伊達に、なにかあったの?」
「…っ、その…」
「風見さん。言って」
やってしまった、という顔をしながら渋る風見さんを思わず睨んでしまった。
直属の上司でなくても、今は長期休みとっていても私の方が立場は上。
そんな立場を利用してでも、伊達のことが知りたかった。
「…約1年前、交通事故で亡くなりました」
目を伏せメガネのズレを直す風見さん、嘘をついているようには見えない。…どうせなら、タチが悪くていいから嘘だと言って欲しかった。
高い耳鳴り音がしばらく続き、私は呆然としていた。
気づけば夕日が私たちを照らしていた。
そして気づけば私は風見さんに伊達のお墓の場所を聞いて、タクシーを拾っていた。
タクシーの中では不思議と涙は出なかった。
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ムニエル(プロフ) - ナイフ向けられて蹴った場合には正当防衛に当たりませんよ笑笑 (2021年12月23日 20時) (レス) @page11 id: fc3a6cbfb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 明里香さん» 直しておきますね!ありがとうございます! (2019年11月2日 21時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 13話、「店長」とありましたが、ポアロでは「マスター」だと思います。 (2019年11月1日 9時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - かとりさん» これは私が完全に入力し忘れですねっ!!!やばいごめんなさい地理の知識無さすぎて泣きそう!!行きました!いろいろありがとうございます!! (2019年6月28日 22時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
かとり(プロフ) - 主人公さん、日本一周で東北だけ行かなかったのでしょうか…?読み始めたばかりですが、既に面白く、どんどん読み進めさせていただきますね! (2019年6月28日 1時) (レス) id: 2c38dfc0c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2018年6月23日 20時