ゼロから始める関係性がいい。【安室透】

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Aside


「……おっふ、昨日何があったっけ」




少し残った記憶の中で、私が何もかも忘れてぇ、なんて思ったことがある。

思った通りに、願った通りに私はそれからの記憶がゼロだ。

笑えるほどにね、はっはっは。


嘘だよ、笑えねぇ。



いつの間にか自分の家に帰っている恐怖

昨日あれから変なことを言っていないかという恐怖

これからポアロに行った時安室さんに出会ったらどうしようという恐怖



いろんな恐怖と、二日酔いで吐きそうになる。

最後は別にポアロに行かなきゃいい話だけど、なんか負けた気がしてなんか嫌だ。


あ、ていうか私昨日吐いてないよね？大丈夫だよね？
うわこっわー。




「今日…は日曜、か。よかった…仕事休みや…」




もし仕事があったらどうしようかと思った。

二日酔いが酷いな…水飲みたい。


フラフラとした足取りで、台所に行く。


食器台からガラスのコップを取り出したら、冷蔵庫を開ける。
水を取り出し、コップを机に置いて入れようとすると、視界に入ってきたメモ用紙と、作った覚えのないサンドウィッチ。

サンドウィッチ。




「サンドウィッチ」




白目を向いて、思わずサンドウィッチっと唱える。

その隣のメモを見てみると

『送らせてもらいました、サンドウィッチ良かったら食べてください。冷蔵庫の中身勝手に使わせてもらいました、すみません。』
最後に、安室透、と書いてニコちゃんマークが添えられていた。

やだもう、これだからモテ男はいやなんだ。
こんなことサラッとしちゃってさ？

サラッと家まで送っちゃっててさ？


…ん？待てよ。サンドウィッチ作って帰ったってことは家に入ったってことか？

…ブラジャーとかパンツとか部屋干ししているところをイケメンに見られたということか？



次はいっその事殺してくれよ。

.

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