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Aside
「ものごっつよかったぁあ」
「それはよかった」
頭を抱え、一人悶える私を安室さんは静かに笑っていた。
先ほど言ってきたイベントとは、チケット制で会場に入り、製作者さん達や君ラックを作った作者さんの話を聞いたり、君ラックのアニメで主人公とヒロインの声を担当していた声優さんのちょっとした吹替を聞いたりするものだった。
それが終われば、原画などが飾られている部屋に案内され、拝見して今現在。
私は幸せのため息をはいて、安室さんはそんな私に先ほど買って来た200mlのお茶を差し出していた。
「ありがとうございます…今はほんと安室さんに感謝しかない…」
「どういたしまして。楽しめたようでほんとによかった。それに、君ラック面白いですね…アニメも漫画も見たことないけど、僕も楽しめました」
「ええ!?見てないのについてきてくれたんですか!?てかまじでなんでイベントのチケット持ってたんですかもう怖いなこの人」
「僕がAさんと一緒に出掛ける口実、ですよ」
「!…っだあもうまた漫画貸してあげますよ!!忙しいから見る暇ないかもだけど!」
安室さんから顔を背け、皮肉めいて言えば嬉しそうにありがとうございますと笑った。
安室さんはあれから、降谷零として喋ってくれない。
別に安室さんが嫌い…ではなくなったけど、本当の彼が『降谷零』ならば私はそっちの彼と話したい。
…な、なんて別に会話で来てんだったらなんでもいいじゃん。何思ってんだか。
「お腹すいてませんか?」
「あー、少し」
「あそこの喫茶店にでも入りましょう」
「賛成です」
安室さんが指さすショッピングモール内の喫茶店に一緒に入って、席に座る。
それから私はカフェラテと苺パフェを頼んだ。安室さんは珈琲だけ。お互い頼んだものが机に運ばれて、私はパフェ用のスプーンを握る。
「安室さんはそんなにお腹すいてなかったんですか?」
「少しダイエット中で」
「は?安室さんがダイエットとか世の中の女子に喧嘩売ってんでしょ。…ほら、一口ぐらい食べて太ってください」
ガッとスプーンをパフェにツッコみ、シリアルと苺と生クリームを掬い取り、ずいと安室さんへ突き出した。
彼はぽかんと小さく口を開けていて。彼の珍しい顔に思わず頬が緩む。
そんな私に気付いた安室さんは逆にニっと笑ったかと思うと、目を伏せ大きく口を開け、ぱくりとスプーンにかぶりついた。
「ばっ」
「…うん、甘い」
最後に口の縁をぺろりと舌でなぞれば、私の顔はもう、まるでパフェの上層に乗っている苺のように仕上がっていた。
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こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» こちらにもコメントありがとうございます…!完結はしようとおもっていますので、、、申し訳ないです… (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - まいさん» ありがとうございます!更新ゆっくりになりますが、がんばりますっっ! (2020年2月22日 20時) (レス) id: f2404a4c45 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - めっちゃ面白いです!!続き気になります!これからも更新頑張ってください^_^ 楽しみにしてます(^^) (2020年2月12日 19時) (レス) id: 51e87b9769 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - わさびさん» だぁありがとうございますっ!!まじですかw奇跡ですねwちょくちょく頑張ります! (2019年5月22日 12時) (レス) id: 4d87c6d951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2018年4月24日 21時