ゼロから始める関係性がいい。【安室透】

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Aside


その後安室さんには丁重にお帰りを申し立てて、帰ってもらった。その次の仕事は申し訳ないが休んだ。疲れすぎて。


しかし私の地獄はまだまだこれからだったのだ。


いや、多分普通の人だったら喜ぶ。
決して私が普通じゃない訳じゃなくて、ただ状況が状況なだけ。


あれから安室さんは、私の家にちょくちょく遊びに来てるのだ。

ハムサンド作ったんですー、とか。

これ新作でー、とか。

肉じゃが作りすぎちゃってー、とか。


いや全部食べ物かよ、とかいうツッコミも欲しかったんだけどくれなかった。

安室さんって公安なんだよね？公安ってもっとこう…忙しいイメージあるんだけど私の家に来るくらいの余裕あるの？大丈夫この国超心配。




「ついに明後日ですね、Aさん」

「貴方ほんと凝りませんね。神経図太い」

「Aさんは相変わらず僕に毒舌になってきましたね。それは心を許してきたという証拠でしょうか？」

「うわーっ、マジポジティブシンキングー」




今日も今日とて美味しそうなお菓子を持って、家に来ていた。

まあ安室さんが持ってくるものはいちいち美味しいので、全然いいんだけど。


それ二日に一回くらいのペースじゃなくて一週間に一回くらいにしてくれないかな。
それにいっつも私の帰宅時間に合わせないでほしいわ、怖いから。そっちの方が助かる。


……いーやいやいや落ち着いて思い出せ？

私が最初に望んでいた結果。


安室さんと深く関わりたくない、関係性はゼロ。

今私達の関係性、数字で表すと五十くらいじゃね？おっそろし。




「Aさん？」

「っあーもう、楽しみですね！『君ラック』！！」

「！…はい、そうですね」




へらっと笑った彼の笑顔に、ちょっと、ほんのちょっとキュンときたのは


彼には絶対秘密だ。


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