*ﾟ*金魚花火20*ﾟ* (ページ5)

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【５４９】side M ページ5

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翔「もう、こうなったらおしまいだろうな」

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呟いた翔さんの声は、溜息交じりだった。

鳴上組内部で起きた分裂騒動。真っ二つに割れた勢力の片方を率いているのは

龍村組とも縁の深い人物だという。

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潤「今まで通りの鳴上組独自の姿勢を貫こうとする旧勢力と

雅紀を筆頭に、尾張組傘下に下ろうとしている新勢力ですか……」

翔「今までの鳴上組は、龍村組との対抗関係から、一時的に尾張組と手を結んでいただけだったからな。この間の、ウチへの襲撃なんかそれだな。

傘下に下るっていうか……吸収されるみたいなものらしい、実際は。そりゃ反発もあるだろうよ」

潤「雅紀は、どうしてそんな真似を……」

翔「さあね……あいつの考えてることなんて、誰にも見破れないよ」

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だけど、と翔さんは言う。

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翔「これでもう、鳴上組は龍村どころじゃないだろうな。

だとすれば俺たちが見据えるべきは、やはり尾張組だろう」

潤「………翔さん」

翔「あくまで、これは暫定的な決定だ。

和也が死んでることになってる今、そして智が微妙な立場にある今

……智がいるのなら、お前は相応しくないと言い張る連中が存在してしまっている今」

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もう喧嘩はできない、そんな人物はその立場になれないのだと

言ったのは彼自身だった。だからあくまで暫定的だと彼は言うけれど

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潤「そんな混乱の中にある龍村組の、色んなこと口々に言ってる男衆を

束ねるのに必要なのは腕っぷしの強さだけではないでしょう。

貴方以外に、誰がいるんですか―――〝組長”」

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漆黒のコートに、あえて龍は銀のまま

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翔「傍で、ちゃんと見てろよ〝副組長”。次は、お前がなるべき位置(ポジション)だ」

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俺のワインレッドにも同じ銀の龍が棲んでるけれど

まだまだ次元の違う空を飛んでいることを自覚していた。

少し、ほっとしていた。

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