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視線を絡ませ、頬に手を滑らせる。
ゆっくりと整った小さい顔が近づいてきて、唇と唇が触れあう。
これで、撮影は…終わり。
カットがかかって、お疲れ様でした、ってなる。
…はずなのに。
…
なかなかカットがかからなくて、私も薮くんも心配になる。
…え、どうしたんだろう。
さすがに、ずっとこのままっていうのも変な気がしたのか、薮くんは身体を離して、抱き締めてきた。
ちょうど耳に吐息がかかる位置で、くすぐったい。
おでこを肩の少し下あたりにくっ付けて、目を閉じる。
…あぁ、この匂い好きだなぁ。
きつい香水の匂いじゃない、柔らかい柔軟剤みたいな匂い。
「…好き。」
耳元で急に囁かれて、驚く。
だけど、それ以上に驚いたのが、台本にはないってこと。
完全に、薮くんのアドリブということになる。
でも…、今は違う。
薮くんじゃない。
涼とハルだから。
だけど、その思いも簡単に崩された。
.
「…Aが好き。」
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