愛したい。K,Y (ページ19)

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約1時間を女性スタッフとの世間話に費やして、時間を潰した。

予定通りの時刻で、空には星が綺麗に輝いている。

都心では見られないような景色で、吸い込まれそうになる。

『それじゃあ撮りまーす。』

監督からの掛け声があり、薮くんが歩き出す。

ーーーーー

「…あの、待って…涼くん！」

撮影現場から帰る途中、先にスタスタと歩く涼くんを小走りで追う。

「ねぇ、ハルちゃんはさ、こういう仕事してて、好きな人とかいないの？」

「…あは、…いるよ？」

ドラマでも現実でも、「～ちゃん」「～くん」なのは変わらない。

違うのは…2人の距離感、かな。

…今は演技に集中しなきゃ、。

「っわ、」

「…それは俺のことって、勘違いしててもいいの？」

腕を力強くぐっ、とひかれ、すっぽり涼くんの腕の中に収まる。

そして、耳元で、そう囁かれた。

「っ…

……うん、いいよ。いつまでも勘違いしててよ。」

「なにそれ。」

全ての気持ちを込めて、涼くんの背中に手をまわした。

台本上のセリフはこれで終わり。

あとは…"あれ"だけ。

…キス。

なのに、どうして？