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戒めのマザーグース   川端 ページ33

子供が現れると同時に聴こえたのは、マザーグースの歌のひとつで、思わず顔をしかめた。

あの曲の歌詞を日本語に直すと、中々に残酷だ。
人を殺 すことに躊躇うことは無いが、マザーグースなどの子供に対する戒めの歌は好まない。


ひとつを歌い終えると、また新たな曲を歌い始める。


其の声は、無邪気という言葉がよく似合うものだった。



「Ring-a-Ring-o'Roses, ! A pocket full of posies,!」

「Atishoo ! Atishoo ! We all fall down ! 」


川端「……!あの一際大人びた奴が首領か…。」



子供達に囲まれ、幸せそうな顔で歌う一人の子供。おそらくあれが頭だろう。

自分とは反対側の方に隠れた探偵社の人間は、ダザイという男以外は困惑の表情を浮かべていた。



バスン。
子供の近くに銃弾が当たる。
此れは組合の狙撃主が仕出かしたことだろう。


銃弾が当たりかけた子供は、首領とおぼしき子供に泣きついた。




森「川端君。」


川端「やっと来たか。……あれだ。」





森は無言で子供の近くに歩いていった。
森が近づく度に、子供の眼が鋭くなる。


エリスは暇そうに俺の手を取りブンブンと振る。




森「御初に御目にかかる。私はポートマフィア首領、森鴎外だ。……君達が『HatE』だね?」


「如何にも。私はHatE's Mother、ライナー・マリア・リルケ。隣の子達は、幹部と、幹部が世話をしている愛しき子供達。……皆、ご挨拶。」


「私はエミリー・エリザベス・ディキンソン。HatEの幹部の一人よ。」


「ウィリアム・ワーズワース。幹部の一人。全てはライナーの為に。」


「ぼ、僕はヘルマン・ヘッセ。幹部の一人…。」


森「御丁寧に有難う。こんなにも幼い子供に、立ったまま話をさせるほど私は非道い人間ではないからね。此方へ来たまえ。」


ライナー「御気遣い、感謝する。…皆離れないように手を繋いでおくんだよ。」




森はエリスを連れ、応接間まで歩き始める。その後ろには福沢とフィッツジェラルド。どちらの顔も険しい。




太宰「いやあ、相手があそこまで幼いとは思わなかったよ。ねえ、川端君?」


川端「…何が言いたい。」


太宰「ライナー、エミリー、ウィリアム。あの三人は比較的安心しても大丈夫そうだ。でも、もう一人は厄介な異能を持っていそうじゃないかい?」


川端「…それがどうした。」


太宰「君は此れから起こりそうなことも大方気づいているのだろう?」




にたりと笑うダザイは、心底愉しそうだ。

硝子玉演戯→←子供達の登場   島崎



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珈琲牛乳(プロフ) - そういっていただけるととても嬉しいです!私は慈さんの言葉選びのセンスが好きです!島崎さんや川端さんを存じているということは、本が好きなのでしょうか? (2017年2月3日 20時) (レス) id: f306460e6f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 珈琲牛乳さん» 何時も読ませていただいてます!珈琲牛乳さんの作品のお陰で、谷崎くん好きになったんですよ!本当に感謝しかないです! (2017年2月3日 20時) (レス) id: 83ed2febe6 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲牛乳(プロフ) - 慈さん» おお!谷崎君はあまり出てくることが無いので嬉しいです!!もしかして作品を見ていただいてるのでしょうか?ありがとうございます! (2017年2月3日 20時) (レス) id: f306460e6f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 珈琲牛乳さん» あああ有難う御座います!!真逆大好きな作者様にコメントしていただけるなんて…!!此れからの話では谷崎くんが出てくる予定です!頑張りますね!! (2017年2月3日 19時) (レス) id: 83ed2febe6 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲牛乳(プロフ) - 島崎さんが呉服屋さんっていう設定が素敵ですね!更新頑張ってください! (2017年2月3日 19時) (レス) id: f306460e6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コシカヴァローナ | 作成日時:2017年1月6日 15時

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