【文豪】我が人生【ストレイドッグス】

平仮名ばかりの紙切れ　　　川端 ページ19

本部に戻るなり、早足で首領室へ向かう。
中原殿からは、緊急事態、としか伝えられていない俺は、何が何だか判らなくない。


ｺﾝｺﾝｺﾝ


中原｢首領、中原です。只今戻りました。｣


中原殿が重厚な造りの扉を三度ノックすると、中から｢入りたまえ｣という声が聞こえ、音を立てずに扉を開き素早く身体を滑り込ませる。



尾崎｢随分と時間が掛かったようじゃのう。｣


森｢二人も戻ってきたことだ、本題へ入ろう。｣



中には既に、森、尾崎、黒蜥蜴、芥川、樋口、梶井がいた。
皆、その顔は真剣そのものだ。



川端｢…御用件は。｣


森｢先程、我々の傘下にいる組織が『HatE』に襲撃された。其処に残されていたのは、此の紙切れだけ。あとは全て、死 体ばかりだ。｣



簡潔に答えられた其れには、少しだが驚いた。
中原殿には、最近『組合』という組織との抗争があったばかりだと聞かされていた。
それが終わって直ぐまた新たな抗争が起きるかもしれないとなれば、流石の俺でも驚く。


見せられたその紙切れには、平仮名で文章が書かれていた。内容はこうだ。



『ぽーとまふぃあのみなさま、ぶそうたんていしゃのみなさま、ぎるどのみなさま、ちかぢか、そちらへうかがいます。それでは、また。
　 にくしみ』



俺達と、武装探偵社、組合……。何故俺達だけなのか。何が狙いなのか。"にくしみ"の意味するものは一体何なのか。
疑問に思うことは幾つもあるが、其れを解くためのヒントがあまりにも少なすぎる。

ただ一つ判ることは組合や、武装探偵社とまた抗争になるかもしれないこと。


それでもし、中原殿に傷を負わせる奴が現れれば、殺さねば。



森｢相手はどうやら未だ子供のようだね。｣


中原｢そのようですね。｣


芥川｢未だ子供とは…。我々も嘗められたものです。｣



子供の悪戯のようにも思える其れは、ポートマフィアを動かすには十分すぎるものだった。
普通の…子供なら、武装探偵社やポートマフィアのことは知っていたとしても、組合の存在は知らないはず。故に此方の知られてはいけない情報を持っている可能性がある。



中原｢何時此方へ来るか判りません。警備を強化しましょう。｣


森｢んー…その必要は無いだろう。｣

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