Moon Lovers (ページ5)

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さらわれないでページ5

Ryusei.

檜「なぁ竜生、海行かね？」

「え、今から？」

檜「そう、今から」

俺が大好きな目の前のこの人はよく
突拍子もないことを言う。
たまに何を考えているのか分からない

「まぁ、いいけど」

檜「じゃあ、いこ！」

って当たり前かのように俺の手を取って繋いで
嬉しそうに歩く檜山くんはとても可愛くて。

檜「ね、来てよかったでしょ？」

そう微笑みながら言われたから周りを見渡すと
そこには夕日の輝くオレンジの海が一面に
広がっていた。

「うわぁ、すげぇ…」

檜「綺麗だな」

「いやがちで綺麗、やばい」

俺の反応が面白かったのかクスクスと笑いながら
海の方へ進んでいく檜山くん。
そんな後ろ姿はやけに淡くて、儚くて、何故か

＿＿海にさらわれてしまいそう。

そう思った。消えてしまいそうだと。

「光成！」

檜「うわっ、なに？」

気づいたらいつもとは違った呼び方で名前を叫んで
海へ入っていこうとする檜山くんのその腕を
掴んで抱きしめていた。

檜「竜生？どした？光成って…。」

「…なんもないよ。好きだなぁって思っただけ」

檜「なんだそれwまぁ…竜生っぽいか」

そう言いつつ、抱き締め返してくれる檜山くんは
やっぱり俺が大好きな人で、愛おしくて。
俺よりも少し小さいその体を抱きしめながら
ずっと守り続けてあげたいなんて思った。

さらわれてしまわないように＿＿＿。

end.