仲間なんだから ページ11
Ryusei.
俺のヘアセットをしてくれている途中、何度かこめかみを抑える檜山くんが気になった。
「檜山くん、寝不足？俺自分でやるよ？」
檜「っいや、中途半端だしやる」
時折顔を顰めつつ最後までしてくれて。
ありがとう、と伝えると微笑んで、なおの所行ってくる、と言ってそのまま織山くんのところに行ってしまった。
「大丈夫かなぁ…」
ストレッチもしつつ檜山くんを目で追ってみるけど、センター曲もあるからか織山くんに振り確認したり、湧くんにラップ確認したり。ずっとそんな感じで､俺だけじゃなくて織山くんも湧くんも心配そうに檜山くんを見ていた。
織「ねぇ、深田。檜山、様子おかしくない？」
「うん、俺も思ってずっと見てたんだよね」
織「本番、乗り切れるといいんだけど…」
という織山くんはやっぱりとても心配そうで。
2人で少し遠くから湧くんと必死に確認をとっている檜山くんを見るしかなかった。
本番はほんとに大成功で。失敗なんてなかった。
アンコールを終え、俺・檜山くん・織山くんの順で舞台袖へ捌けている時、後ろから急にうわっと声が聞こえた。後ろを向くと捌けきった檜山くんが後ろで膝から崩れ落ちていて。
「檜山くんっ！？」
檜「え、っと」
織「檜山、よく頑張ったよ」
「俺おんぶするからとりあえず戻ろう」
織山くんと協力して檜山くんをとにかく楽屋まで運んだ。
顔は真っ白だし、手は心配になるほど冷えて震えていて。
手を握る俺も、背中を摩る織山くんも不安で仕方なかった。
檜「…竜生もなおも、ごめん」
まだ少し震える手を俺から離してそう言った。
不安そうに揺れる瞳により不安になる。
織「なんかあった？体調悪かった？」
檜「寝不足で、ずっとふらふらしてて…。」
「やっぱ寝てなかったの？」
檜「上手くいかないんじゃないかって…失敗して迷惑かけんじゃないかって不安が頭に浮かんで…、寝れなくなって…。」
そういう檜山くんは泣き出してしまいそうで。
織「檜山はちゃんとできてるよ。迷惑もかけてない。」
「そうだよ。檜山くん、あんなに頑張って練習してたじゃん、今日も大成功だったよ。だから大丈夫。だし、失敗してもいいんだよ？迷惑もかけていい。ね？」
檜「っ…ごめん…ありがとうっ…」
そっと抱きしめると、わっと泣き出してしまった檜山くん。
織山くんは震えている檜山くんの手を握り、優しい顔をしていた。
迷惑、かけてもいいんだよ。仲間なんだから＿＿＿
end
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作者名：叶愛 | 作成日時：2022年9月10日 11時
