太陽は月を照らす ページ2
Kosei.
色のない暗い世界。楽しさのない世界。
ずっとそんな世界を生きている気がしてた。
見えない道を照らす光を探し続けて、
でもどこへ行っても見つからない。
そんな俺に光をくれたのはあの日出会った
1人の男の子だった。
「いってきま〜す」
変わりばえのない一日が始まった。
俺は高校生になる。そんな日でさえも色がない。
高校生になれば変わるだろうなんて思って
いたのがとても馬鹿らしく感じた。
「あ、さくら。満開じゃん」
並木道に咲く満開の桜に思わず呟いた。
そしたら聞こえていたのか1人の男の子が
声をかけてきたんだ。
？「ほんとだ！桜めっちゃ綺麗！」
急に大きな声が後ろから聞こえて振り返ると
そこには俺には眩しすぎるような笑顔を
こちらに向けている男の子。
「あ、えっと…」
？「あ！ごめん！つい声かけちゃった…」
「あ、いや大丈夫…です」
？「同じ制服っぽいし同級生かなぁって！」
「あ、ほんとだ」
同じ真新しい制服を身につけている彼、
笑顔に気を取られて気づかなかった。
深「俺、深田竜生！君は？」
「俺は檜山光成」
深「檜山くん！よろしくね！」
「うん、よろしくね竜生」
深「一緒に行こうよ！」
「うん、いいよ」
ずっと眩しい。明るい。
出会ったばかりの彼は俺の世界に色をつけてくれて、光を照らしてくれているような気がした。
深「クラス発表緊張する〜！」
「どのクラスでも同じだろw」
深「え〜檜山くんと一緒がいい！」
「まぁ俺も竜生いてくれる方が嬉しい」
深「俺らもう仲良しだね！」
と、言いながらクラス発表の紙を見る。
さっきまでの盛り上がりが嘘みたいに
無言で必死に名前を探す。
深「あ！あった！俺３組だ！」
深田は3組か…と思いながら俺も３組の
名前を辿っていった。
「あ、俺もあった３組！」
深「え！檜山くんも3組！？」
「うん、俺も3組」
深「よっしゃ！楽しい1年になる！」
嬉しそうに笑う竜生を見て俺も嬉しくなった
クラス替え。苦手だったイベントでこんなに
嬉しく思えたのは初めてだった。
深「これから1年よろしくね！」
「うん、こちらこそよろしく」
早く行こうって俺の腕を引っ張って
教室に向かう竜生の後ろ姿はやっぱり
太陽みたいに眩しく見えた。
そんな太陽のような君のおかげで初めて
こんなにもワクワクして、楽しくて。
そして初めて俺は誰かに恋をした＿＿
end.
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作者名：叶愛 | 作成日時：2022年9月10日 11時
