第三話 ページ6
「広……」
ここは七つある内の一つの会場。敷地内に市街地がいくつも……流石は雄英だ。軽くストレッチをしながらそんなことを思う。
「ハイスタートー！」
来た。
その合図と共に私は駆け出す。
「ん？」
「え？」
「どうしたあ！？ 実戦じゃカウントなんざねえんだよ！！ 走れ走れぇ！！ 賽は投げられてんぞ！！？」
「えええ！！？」
……それを言うなら開始の合図すら実戦ではないだろうに。
声を置き去りにしながらもまず目に入ったのは1P敵。
「標的補足！！ ブッ殺す！！」
ﾋﾞﾋﾞｯ、ｳｲｨ……、など機械っぽく迫ってきた。中々すばしっこい。
けど、それだけだ。
プログラムされているからか単調な動きを見切り、攻撃を避け、他の受験生達が戸惑っている間に呼んだ眷属達を向かわせる。
案外脆いようで直ぐに片してくれた。
しばらくすると、空から見ている眷属が此方此方と私を導いてくれる。
そこには敵に囲まれ、何かを諦めたような怪我人がいた。敵の処理は眷属に任せ、私は__。
「もう大丈夫です、助けに来ました！」
無言のまま此方を見るのは、何かを諦めた暗い瞳。くるりと振り返ったときに揺れたのは、毛根が捻れたようなうねうねの短めの紫髪。オールバックにしていても髪の毛って揺れるんだな。
練習通り彼に笑顔で話しかけ、傷の手当てを行う。
察するに、実技が絶望的なんだろう。手足の脱力や抜け落ちた表情。どう考えても緊張でガチガチに固まったという訳ではなさそうだし、目のクマが尋常じゃない。緊張は散々昨夜にした、といったところか。
どちらも無言のまま手当てが終わった。
とっくに眷属は戦闘を終わらせ次のPを稼ぎに行っている。
よし。
「この子を貴方につけときます。敵に会っても守ってくれるから安心してください。戦闘がしたいときはこの子は私の眷属の中でも比較的話の通じる子だから言えばわかると思います。これ以上は無理だと思ったら入り口に行けばいいですよ」
じゃあ、と諦めた彼と眷属を置いて次の怪我人の元へ。
後ろから何かを言われたが、気がつかないフリをした。他人と言葉を交わすのはあまり慣れない。何よりタイムロスが惜しい。眷属による処理が間に合わない邪魔な敵を、お父さん直伝の冴えた捕縛武器捌きで縛る。
情けないことだが、ロボット相手にいちいち生身で相手をしていれば体力がもたないのでトドメは眷属に任せてそのまま去った。
「あと6分2秒〜」
山田さんの声が響く。
高校入試はまだ続いている。
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掘須磨大付属中学校出身
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ログインしていない系作者 - ＡＲＵＰＡＫＡさん» コメントありがとうございます！ 好きどころではなく愛されるよう死力を尽くします！ 更新らしい次の更新は多分来年になります、すみません。気長に待っていただけたらな、と思います。(怠惰系作者) (2019年12月9日 20時) (
レス) id: 87dbb62b29 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＲＵＰＡＫＡ - 好きです！次の更新待ってます！ (2019年12月7日 11時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
ログインしていない系作者 - ベルさん» コメントありがとうございます！ さらに好かれるように精進致します！！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 87dbb62b29 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - ログインしていない系作者さん» 好きです！ (2019年9月8日 8時) (レス) id: 5a526b3f59 (このIDを非表示/違反報告)
ログインしていない系作者 - 最強チートになりたい！！！！さん» コメントありがとうございます！ 面白いと仰って頂けて幸いです。(ノリ悪い系作者) (2019年5月19日 19時) (レス) id: 87dbb62b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ログインしていない系作者 | 作成日時：2019年3月22日 2時
