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「ねぇA」
「何？ママ」
「みおちゃん一家引っ越すみたい」
「え？……聞いてない」
「ママは前から聞いてたんだけどね。Aには言わないでってみおちゃんが」
「いや、意味わかんないんだけど」
「前日まで言うなって言われてたけど、さすがにママしんどくて。Aに黙っててもいいことないからね。2人にとって」
「いつ出るの」
「1学期終わったらだって」
「え？大会出ないの。意味わかんないマジで。家行ってくる」
「A！」
「ん？」
「がんばれ」
「え？うん」
あのとき、気づいてたらよかったのに…
「私がもうすぐ引っ越すって言ったらどうする？」
「え？ちょ、意味わかんないんだけど」
「まぁ、それだけ」
「急に何」笑笑
「なんもなーい」笑笑
「なんの本読んだの」笑笑
「ほら！次音楽でしょ？行くよ〜」
「ちょ、待って！」
「みお！！」
「え？珍しいね。無断で上がってくるの久しぶりじゃん、
どしたの？」
「自分がわかってるでしょ！引っ越すって何？！」
「………そのまま」
「なんで？どこに？」
「お父さんの転勤で、アメリカ」
「アメリカ？！？！」
「ニューヨーク。すごいでしょ？」
「すごいけど、私に言ってもよかったじゃん！」
「言ったら普段通り過ごしてくれないじゃん」
「当たり前のこと言わないでよ！普段通り過ごすわけ。ニューヨークなら余計に！！もっと2人で過ごそうよ」
「…‥それは嬉しいけど、普通のことしたい」
「普通は普通だけど、2人でいろんなとこ行こ、写真も撮ろ、もっといろんなことしよーよ」
「アメリカ行っただけでもう会えないの？」
「それは……」
「アメリカ行っても会えるでしょ！日本にもちょくちょく帰るしさ」
「でも…」
「みお」
「ママ…」
「Aちゃん、わざわざきてくれてありがと。本当のこと言いなさい、みお」
「本当のことって何」
「……あがって」
「お邪魔します…」
「A、私さ」
「うん」
「手術しにアメリカ行くの」
「は…？」
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作者名：クノイチ | 作成日時：2022年6月23日 7時
