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(人格が変わる……?契約?何、それ)
Aは現れたドストエフスキーを一瞥しただけで、反応を見せなかった。
それより彼女は、必死に太宰の言葉を理解しようとしていた。例えるなら、それは瀬戸際。わたしの中の"私"が生きるか死ぬか。
「久しぶりの再会なのに、連れないですね。昔のようには呼んでくれないのですか」
「……"私"は貴方を知らない」
「そうでしたね。でも思い出したでしょう?」
Aの思考回路を邪魔するかのようにドストエフスキーが言った。いつの間にか、敬語は取れていた。
「意外です。貴方が彼女をご存知だったとは」
「6年前に出会っていたのさ」
「成程、龍頭抗争ですか」
「君なら知っていると思っていたけれど」
真逆、予想外ですよ。と太宰の台詞にドストエフスキーは唇に弧を描いた。
(そうか)
その表情にAは確信する。
(マフィアに情報が売られた事、探偵社が私を護った事、麻薬密売を手配した事。全て、すべて)
「──貴方が、裏で全てを回していた」
「漸く気が付きましたか」
紫水晶の双眸がAを映す。温度を感じさせない冷たい手が頬に添えられた。
「お帰りなさい。A」
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小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小雨 | 作成日時:2019年1月16日 21時