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全てを思い出す迄、もうひと押しか。
太宰は回想から意識を戻し、戦慄しているAを見据えた。
｢Aちゃんは如何してドストエフスキーに会いに来たのかい？｣
｢そ、それは……｣
曖昧に言葉を濁したAが固まる。
(…………ドストエフスキーって誰だ？)
私の今まで生きてきた人生に、そんな人は居なかった。
じゃあ何で。私がその男を探しているの。
あれ、可笑しい。何が？
頭が痛い。
駄目だ。これ以上模索するな。
"私"が壊れる。
｢ねえ｣
唐突に太宰が声をかけた。
｢前に教えてくれた異能力、嘘でしょう｣
思い出すのは、乱歩に本当の異能を伝えたあの日。
嘘なんか吐いてない、そう言うと太宰は笑った。悪魔のようだった。
これを聞いてはいけない、瞬時にそう思った。
駄目だ、それ以上は言わないで。
｢嗚呼、そっか。
駄目、ダメ、だめ────
｢契約を破ると、
｢──おや、随分と賑わっていますね｣
足音などしなかった。
前を向けば、愉快気に笑う男の姿。そう、白雪の露西亜帽を被った、
｢……フョードル・ドストエフスキー｣
彼は微笑んだ。
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小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小雨 | 作成日時：2019年1月16日 21時
