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「Aちゃんは…その、お金とかに困ってるの……?」
「いえ、あまり。
「だったら如何してあれが夕飯なの……」
「余裕はあれど節約は大事ですからね」
何なんだこの人……。敦は絶句した。
金銭的余裕があるなら、節約してゼリー飲料を夕飯にはしないだろう。態度から察するに、彼女は毎日こんな食生活を続けているようだ。
Aとしては口に入れるだけのものに態々高価を払う必要性を感じないし、喉をするりと通るあの食感が好きなのだ。
「とは言え、鏡花ちゃんには料理まで作って貰いましたし、今度お礼をしますよ。何か食べたい物ありますか?」
「橘堂の湯豆腐」
「ご馳走しますね」
成程、彼女は豆腐を好むのか。それは、Aの脳内メモに追加された。
夕飯を食べてから探偵社に戻る気だったが、折角だから泊まっていってほしい、と言われたので1泊する事になった。
保護しているだけの見ず知らずの他人に同じ寝床を勧めるとは、彼らはどれだけ心が広いのだろう。ここまで来ると無防備と言うべきか。
「電気消すよー」
寝間着に着替えた敦が電気を切って押し入れに入っていった。
カーテンから僅かに漏れる光。隣で目を瞑る鏡花。Aは久しぶりに触れる安心感に包まれて、そっと意識を手放した。
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小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小雨 | 作成日時:2019年1月16日 21時