検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:80,649 hit

#31 ページ31

.



時を止める、それはこの世界に存在する全てを止めるという事。


"時"が実際に触れられる物体だとすれば、太宰はAの異能の阻止が可能になる。

しかし"時"が気体や、固体、液体で無いとすれば、Aに直接触れない限り人間失格は無意味になってしまう。


実際、Aは今までにも何度か異能を使用した事があるようだ。つまり、世界を止めている間そこに太宰も含まれる訳で、空気(気体)の中に"時"が入っている可能性は極めて低いだろう。




「太宰さんは随分と如何でもいい事を考えているのですね」

思考を巡らせていた太宰にAは愉快そうに言った。

彼女は一見穏やかそうだが、時折見せる容赦の無い態度に本性が透けている。太宰は思った。


「如何でもいい訳ではないさ。私の異能が通用しないなら、時間が止まっている間、君の異能を止められるのは誰一人として居なくなる」


それは彼女の"本当の"異能を知っているからこその気掛かりだ。

自らの元相棒で(かつ)て裏社会で恐れられた彼、中原も太宰というストッパーが居た。太宰が居なければ、中原は異能の限界値を突破出来なかったし、下手をすれば命を落としていたかもしれない。




「矢張り、戯言ですね」

そんな太宰の思いを知ってか知らずか、Aは何処か寂しそうに微笑んだ。


.

#32→←#30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:小雨 | 作成日時:2019年1月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。