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「こんな形ですまないね。こうでもしない限り君は逃げてしまうだろう?」
朗らかな口調で告げているが、彼の感情を読む事は出来ない。
「マフィアの長が何の御用で?」
「まあまあ、そう急かさないでくれ給え」
2人は今、鉄格子を挟んで向かい合っている訳ではない。鎖で身動きが取れないAとそれを見上げる森。この忌々しい鎖を引きちぎる事が出来たのなら今すぐ逃げ出せるのに。
Aは何とも言えないもどかしさを感じていた。
「我々の要件は一つだけ──」
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「──マフィアに入る気はないかね」
「お断りします」
「おや。連れないねぇ」
わかり切っていた答えだというのに、森は態とらしく肩をすぼめた。
「……
帽子を胸元に当てている中原が忠告をするが、その言葉がAの心に届く事はなかった。
「他人の駒になるくらいなら舌を噛んで死にますよ」
Aが挑発的に舌を出した。
それは非常に残念だね。森は頷いて、
「中也くん」
その合図で中原が動く。
「ぐッ……!」
腹を容赦無く蹴られたAは胃液と共に血を吐き出した。
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小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小雨 | 作成日時:2019年1月16日 21時