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ガシャンッ



横浜の裏路地。既に空は淡い橙色に染まっていた。

そんな中、僅かに乱れた呼吸と金属同士がぶつかり合った音が響く。


「チッ…腕に何仕込ンでやがる」


帽子を被った男──中原 中也の問いに答えは返ってこない。


中原は忌々しげに目前の相手に蹴りをいれる。
しかし、それは相手に届くことなく避けられた。


攻撃をしては避けられ、攻撃をしては避けられる、先程からそればかりを繰り返している。


マフィアきっての体術使いと謳われている自分でさえこれなのだ。
他の奴じゃ此奴の捕獲は難しいな、と思いながら中原は再び蹴りをいれた。



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首領(ボス)からの命令で駒崎(こまざき) Aという少女の捕獲を任されたのが4時間前の出来事であった。


五代幹部である中原が首領直々に任命されたのだ。一筋縄でいく訳がない。


彼女が異能持ちなのかそうでないのか中原は知らされていなかったが、兎に角異能を使うなと指示があったので体術のみで戦っているのだ。


しかし中原も丸腰で挑んでいる訳ではない。

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「今だ」


中原の声と共にカチャ、と何かを構える音がした。


「ッ……」


黒いコートに身を包んだAが驚いたように辺りを見回す。


黒服の男達が彼女を囲み、銃を向けていたのだ。


「首領、ターゲットを捕縛しま──」


情報通信機器(インターカム)に向かい話している最中、中原の表情が驚愕に染まった。


『……何か問題が起きたようだね』


一瞬、ほんの一瞬目を離した隙に少女の姿が消えていたのだ。
囲んでいた黒服達の顔に焦燥が見られた。


「…申し訳ありません。たった今ターゲットを見失いました」


『矢張りそうなるか……お疲れ様、中也君。撤退し給え』



通信機の向こうで森 鴎外は笑みを浮かべた。

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小雨(プロフ) - 姫歌さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。少しでも面白いものを書けるように頑張ります! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 0248fe37a6 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - 迚綺麗な文章体ですね。更新頑張ってください。 (2019年1月25日 19時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小雨 | 作成日時:2019年1月16日 21時

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