51話 ページ11
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で、養父が死んだ今、組織を乗っ取った男にとって残る邪魔者は僕とその周りを固める古参の幹部達だけだ
すぐさま僕達の元には刺客が送り込まれた
なんとか撃退してはいたんだけど、それでも次々送り込まれてくる刺客に味方の数が少しずつ減っていった
このままでは全滅してしまう、そう思った味方の一人…最古参の男が代表して言った
「坊ちゃん、組織を抜けましょう」
なんて答えればいいんだろうと僕は悩んだ
乗っ取られたって言っても養父との思い出が至る所に残った組織を捨てるっていうのは、僕には結構苦しいことだったんだ
でも、僕の身を案じてそう提案してきた元幹部たちの真剣な顔を見て、僕は頷く他なかった
幸い、養父は犯罪組織と言っても悪どいことには手を出さず、きちんと規律を守って動いていたこともあって他の組織や色んな人たちからの信頼が厚く、人脈も広かったから逃げ場所には困らなかった
…でも。
『なんで…』
逃げ込んだ組織にまで刺客が送り込まれてきた
男の執念とも呼べるほどの執拗な追っ手に逃げ込んだ先の組織は壊滅状態。
追い詰められた僕達は他の所に逃げ込んでもまた同じ事が起こるだろうと危惧して安易に人を頼ることが出来なかった
最初にいた数の半分ほどまで減った味方と共に、世話になった組織から逃げ出してあてもなく車を走らせる
実は流れ弾を食らっていた僕は、じくじくと脇腹が痛むのを無視してこれから先どうしようかと考えていた
いっそ海外逃亡でもしてみようかと口を開きかけた僕を遮ったのはまたもや最古参のあの男だった
「…坊ちゃん、血の匂いが」
少しぼーっとする頭で、あぁやっぱり気付かれたかと思った
昔からこの男に隠し事が通用したためしがない
ぎょっとした他の男たちをよそに、その男は僕の身をゆっくりと倒して自分の膝の上に僕の頭を置いた。俗に言う膝枕状態だ
「…脇腹ですか。」
服をペラリと捲った男が苦い声を出した
そんなに酷い傷だろうかとぼんやり思う
「おい、包帯を。」
そう言って他の男から包帯を受け取ったその男は素早く僕の脇腹にぐるぐると包帯を巻いていった
『…くっ』
止血の為か、ぐっと傷口を圧迫された時には思わず声が出てしまった
「少しだけ辛抱してください」
優しく頭を撫でられて少し息が楽になった
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若宮真琴 - 好きです!大好きです!面白いです!頑張ってください!めっちゃめっちゃ応援してます!!!!更新頑張ってください! (2020年6月25日 12時) (レス) id: f98349de18 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - 椎名桃乃さん» うおぉ、こんな更新停滞魔にありがとうございますっ!!頑張ります! (2019年5月25日 11時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - とっても面白いです…!夢主くんが可愛すぎて辛いですwこれからどんな展開になっていくか楽しみです!応援してます、頑張ってください! (2019年5月23日 16時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - マリーさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!気長にお待ちいただけると幸いです! (2019年5月11日 12時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - シンアさん» ありがとうございます!!最近更新が停滞してしまっていて申し訳ないのですが、これからもちまちま更新していくのでよろしくお願いします!! (2019年5月11日 12時) (レス) id: 9523295b39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pico | 作成日時:2019年1月2日 20時