9話 ページ9
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「…なんでこっち見てくるの」
若葉がバレー部に見学に来た翌日。
隣の席であるため、視界に入ることは多い。
そうだろうと思いたかった。ただ少し人より長く見られているだけだと。
そんな孤爪は若葉の舐めるような視線に少しばかりの恐怖を感じていた。
若葉は孤爪に笑いかけた。
『気にしないでよ。私が勝手に見てるだけだからさ』
「気になるでしょ」
『君は意外と熱いタイプだと思ってね』
「ずっと見てきて出た言葉がそれなの？なんでこっち見てたの？」
柔らかな短い髪がふわりと風に乗る。
人差し指を立てて左右にゆっくりと揺らす。チク、タク、メトロノームのリズムみたいに揺れている。
『ひとつアドバイス。熱くなりすぎると周りが見えなくなるものだよ』
ふわっと猫みたいに欠伸をした。
人差し指はしまわれ、机の上に腕がだらんと垂れる。
孤爪は若葉のことを猫みたいだと思った。
不思議さと自由さ、飄々としていて掴みどころがないところも猫の生態に合っている。
『リエーフは面白いよ。君にとって攻略しがいがある人物なんじゃないかな』
言いたいことだけ言って目を閉じた。
金茶の瞳は隠され、睫毛が影を落とす。
気にしていなかったがどうやら綺麗な顔立ちをしているらしい。
よっぽど眠かったのかすぅすぅと寝息を立てて夢の中へと入っていった。
暑くなってきて夏になる前だとはいえ風邪をひくのではと窓を閉めに席を立ち、若葉の横の窓に手をかけた時。
『にぃ、さん…』
そう聞こえて思わず手が止まった。
寝言を言うような人だと思えないが、聞こえたからにはその通りなのだろう。
とりあえず窓を閉めて自分の席に腰を下ろした。
スマホ画面を横にして、ふと若葉を見る。
笑顔を貼り付けている時よりもよっぽど今の方が良い。
まだ使っていない部活の上着を取り出しそっと背中にかけた。
その数十分後に黒尾がやってきたが、若葉が寝ているのを見て驚いた表情を見せた。
「へぇ、こいつも寝るんだな」
「若葉のことなんだと思ってるの」
「え、なんだろ？でだよ、研磨。マネージャーやってくれそうか？」
「アドバイスはくれたけど、期待はしない方がいいかも」
「でもなぁ、リエーフとかと仲良くなってっからなぁ」
残念そうな黒尾の声を聞きながら、孤爪はポチポチと画面を押して角の生えた敵を倒すのだった。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます！！楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです！！ (2月26日 23時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか？続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます！まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ！それまでお待ちください！ (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2023年12月12日 0時
