41話 ページ41
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「なぁなぁ!アレってもしかして東京タワー!?」
「え、あれは……普通の鉄塔、だね」
日向のハイテンションに戸惑う孤爪。
そんな二人の後ろからゾロゾロと人がやってくる。
「なんなの、宮城には鉄塔ないの?あの会話デジャブるんだけど」
「東京にある鉄塔は大体東京タワーに見えるんだよ!地方人は!」
「おい暴言。あと、ここ埼玉」
言いたいことが何となくわかる。
若葉も出身は宮城であるため、初めて東京に来た時はたくさん東京タワーがあるなんて思っていたら、その東京タワーに見えたのは鉄塔だった。
そのことを知って愕然とした。
「若葉ちゃん、久しぶり」
『お久しぶりです、清子さん。仁花ちゃん、元気?』
「ハイ!」
『真子は中で準備してるので私がお迎えに上がりました。荷物持ちましょうか?』
「ありがとう」
清水から荷物を渡され、肩にかける。
そして、横目で影山と日向の様子を見た。
二週間前の二人とどこか違う雰囲気を漂わせている。
森然高校につながる長い階段上りながら清水に問いかけた。
『飛雄とチビちゃんはどうですか』
「あー、それが…」
気まずそうな顔をして谷地の方を向いた清水を見て、若葉は何かあったのかと足を止めた。
谷地は目を伏せて言った。
「日向と影山くん、帰りついたあと喧嘩しちゃってですね」
『喧嘩?もしかして、飛雄が勝ちに必要じゃないトスは上げないとか言ったの?』
「そういう感じのことを言ってました!日向が"若葉さんがおれは間違ってない"って言った!って言ってたんですけど……」
言ったけど、何故引き合いに出すのだろう。
若葉は息をついて階段上りを再開させた。
足を動かしながら口を動かす。
『チビちゃんには技術も高い身長もない。けれど、彼の武器はバネとスピードだ。それに加えて空中で自分で戦えるようになれば、打倒ウシワカも夢じゃないってね』
肩越しに二人振り返って笑顔を向けた。
『これはただの私のエゴだ。兄の負け面を見てみたい。私は適わなかったから』
そう言ってまた前を向いた。
風に揺れる髪。
谷地から見えた彼女の横顔は寂しそうな悔しそうなそんな表情をしていた。
何か言おうと口を開いた時、『着きました。長い階段、お疲れ様です』と若葉が気にしてない軽い感じでそう言ったので、キュッと口を閉じた。
颯爽と中へ入っていく若葉を見失わないように清水と谷地は駆け足で彼女について行った。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです!! (2月26日 23時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか?続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます!まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ!それまでお待ちください! (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年12月12日 0時