31話 ページ31
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「なあなあ、俺のこと知ってる?」
『5本指のスパイカーですよね、存じ上げてますよ』
「俺って有名人なのか!」
『スパイクの威力、強いですよね。すごいと思います』
お茶碗を持って箸で白ご飯を口に運ぶ。
若葉の言葉に目を開いて固まっていた木兎はハッとして、若葉の背中をバチッと叩いて喜びを顕にした。
「だろ!?若葉は見る目あるなぁ!!」
『ゴブォッ』
結果、その勢いで喉に詰まらせた。
若葉の苦しむ様子に黒尾と夜久は勢いよく箸を置いて立ち上がり、黒尾は木兎に声を上げ、夜久は水を取りに駆け出した。
「ちょぉい、木兎!!ウチのマネージャーに何してくれちゃってんの!?危うく窒息死するだろーが!!若葉は繊細なんだからよォ!!」
「ごめん!!若葉、大丈夫か!?」
「水!!ホラ水、飲んで!!」
叱られた木兎がオロオロしながら立ち上がった時、ちょうどコップを持った夜久が水を運んできた。
夜久が若葉の背中をさすっている間もオロオロする木兎に、黒尾が睨みを効かせればピタリと止まる。
手渡された水を勢いよく流し込み、若葉は息を吹き返した。
『死ぬかと思った…』
「大丈夫か?」
ぐったりとした様子の若葉の背を未だにさする夜久。
そんな若葉を見て、木兎は俯いた。
「若葉、ごめん…その、悪気はなくて…ごめん」
しょんぼりとした様子の木兎を見て、若葉はふぅと息を吐く。
『驚いただけです。やるなら事前に言ってください』
「いや、そういうことじゃないだろ」
「さすが若葉。見事にズレてる」
「わかった!!」
「それに頷く木兎も木兎だな…」
「同類だとは思いたくないけど、そうなんだろうな」
ちょっとした騒ぎを起こしたため、視線が若葉達に集まっていた。
そして、その渦中に木兎がいることに気づいたお世話係になりつつある梟谷の副部長は額を抑えた。
何をしてくれてんだ、と。
横に座っていた孤爪が「若葉、大丈夫かな…」と声を漏らしたのを聞き、音駒のマネージャーにやらかしたのだと察した。
箸を置いた彼は木兎の元へと向かった。
「木兎さん、何してるんですか」
「あかーし!」
「ちょっと赤葦クン〜、木兎がウチのマネージャーを危うく窒息死させようとしたんだけどぉ〜」
『黒尾先輩、言い方気持ち悪い』
「コラ若葉!!そんなこと言ってはいけません!!」
まさに混沌。
茶番が始まったので、赤葦は孤爪の元にそそくさと戻ったのであった。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです!! (2月26日 23時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか?続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます!まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ!それまでお待ちください! (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年12月12日 0時