22話 ページ22
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『やあ、私が何だって?聞こえなかったから、もう一度はっきり言ってくれるか?』
振り向いた先には、黒い笑みを浮かべて見下ろす若葉の姿があった。
青ざめた山本に対し、黒尾はあーあと傍観する。
「い、いや、若葉さん、あの」
『あれ、もしかしてバレー部にはマネージャーは必要なかったのかな?そっかあ、君には私のマネジメントがお気に召さなかったみたいだ』
優しく微笑むその笑顔がとても恐ろしい。
山本とさほど変わらない高身長であるがために、見下ろされるとさらに増す恐怖感。
山本は思わずススス…と膝を着いたまま後退り、黒尾に助けを求めた。
「く、黒尾さん!!」
今までに見たことがない必死な表情。
そんな山本の前に立つ若葉の黒い笑み。
黒尾は息を吐きながら首の後ろに手を当てた。
そして若葉を止める必殺ワードを発したのだ。
「若葉、やっくん呼ぶぞー」
『それは困ります。山本、100本サーブで許してやろう』
必殺ワードの強さを見た事か。
若葉の動きがピタリと止まり、即時に返ってくる言葉。
黒尾は知っていた、夜久と若葉がサーブ打ってくれ嫌ですと攻防を繰り返していることを。
それを利用した必殺ワード。
若葉はふぅと息を吐いて烏野のマネージャー二人に向き合った。
『見苦しいところをお見せしてしまいすみません。初めまして、音駒高校2年の牛島若葉です。案内をさせていただきます』
「烏野3年の清水潔子です」
「い、1年、谷地仁花でありますっ!!」
あります?
不思議な自己紹介に若葉は目を瞬かせたが、すぐに案内の体制に入った。
『マネージャーの部屋はこちらです。黒尾先輩、アップ終わってると思うので後はよろしくお願いします』
振り返ってそう声をかければ黒尾は軽く手を挙げた。
そして、若葉の片手に持っているボードに指を差す。
「おー、そのノート借りていいか?」
『リエーフについては夜久先輩にお話済みです。リエーフじゃないんですか』
「そ、だから貸して」
『わかりました』
また上っ面の笑みを浮かべる若葉に黒尾は相変わらずだと肩を竦めた。
バレー部には素を見せるようになったが、他の人達がいるとどうしても素を見せない。
張り付いた笑みを浮かべ、人当たりの良い性格を演じる。
昇降口へと案内する若葉の背中を見つめ、烏野の主将に向き直った。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです!! (2月26日 23時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか?続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます!まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ!それまでお待ちください! (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年12月12日 0時