2話 ページ2
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うーんと唸り、顎に手を当てる姿はどことなく様になっていた。
「今からマネになってもらうとしたら経験者がいいんだよな。合宿もあるし、俺達は春高目指してるわけだし」
「黒尾にしてはまともなこと言うじゃん」
「やっくん、俺のこと何だと思ってるの??」
ひょこっと顔を覗かせた孤爪よりも少し背の低いリベロである先輩はうんうん、と頷きながら腕を組む。
「経験者のほうが立ち回りがいいよな。でも、経験者はもう女バレ入ってるだろ」
これでも去年も探したし、今年に入ってからも探し回った。
けれども、経験者はほとんど女バレに入部してしまっている。
孤爪はそういえば、と昼休憩に話しかけられた隣の席の人を思い出した。
昔とはいえバレーボールをやった事があると言っていたな。
口を開き、呟いた。
「…おれの隣の席の人、バレーやってたんだって」
次の瞬間、先輩二人にガッと肩を掴まれてぱちぱちと目を瞬かせた。
「よくやった研磨!」
「その子、名前は!?明日勧誘するわ!!」
がっつき具合の凄い二人。
大きな声で言うものだから山本と、先程マネが欲しいと騒いでいたリエーフまで何だ何だとこちらに注目している。
孤爪は目を泳がせながら「う、牛島若葉、さん」とどもりながら答えた。
「牛島?バレーで牛島って言われたらウシワカしか思い浮かばないんだけど」
「妹とかいたっけ?」
「いや、そんなの知ってるわけないだろ」
牛島若葉。
緑がかった黒髪に金茶色の瞳。
飄々としている性格のせいかクラスの人と打ち解けるのが早かった。
けれどもどこか、威圧感を感じる時がある。
人をまとめるのが上手いと言うのだろうか。
独特な雰囲気を持つ彼女の第一印象は孤爪にとっては"食えないやつ"だった。
上っ面だけの笑顔に本性を隠してるような発言。
そういうキャラクターは後々強い敵として現れる。
どことなくウシワカに似ているかと言われれば似ているが、気にしなければ似ていない。
雰囲気が全く違う。
顔も違う。同じなのはカラーリングだけ。
「牛島さん、観察力すごいよ」
ぽつりと出た言葉。
滅多に人を褒めない孤爪の発言に、先輩二人は顔を見合わせてニヤリと笑った。
これはもう引き入れるしかない、と。
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早夜(プロフ) - LUNAさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて嬉しいです。今まさに公開致しました。パスワードなしでご覧いただけます。お待たせしてしまい申し訳ありません。ぜひ、続編も楽しんで読んでいただければ幸いです!! (2月26日 23時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
LUNA - こんばんは!!初コメ失礼します!めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました!!続編も気になっているのですが数話公開されたらパスワードがなくても読むことが出来ますか?続編も気になるのでよろしくお願いします!! (2月26日 23時) (レス) id: b20802aba1 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - アマアマハチミツさん» コメントありがとうございます!まだ1話しか書けておらず、数話まとめての公開にしようと思っていたのですが…1話でもいいよ〜と言っていただけるのであれば公開させていただきます。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ミカサさん» 続編公開しますよ!それまでお待ちください! (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - いくら丸さん» コメントありがとうございます。楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編は公開致しますので少々お待ちくださいませ。 (2月26日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2023年12月12日 0時