41話 ページ43
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「やっほー、ツムツム」
「ツムツム言うのやめろ。練習はどうしたんや」
「先輩とケンカになって追い出された。まだ先輩、私のトスが悪いって言うんだぜー?おかしいよね」
体育館の入口階段に座る侑の横に座り込む。
ペットボトルの蓋をいじる侑の頭に手を乗せ、わしゃわしゃと撫で回してやった。
「おい!?ボサボサになるやろーが!!」
「え、気にするタイプ?何か、しけた顔してたから」
「どういう顔や、それ」
しらっとした目で見られたけど、グラウンドを見ながらふふっと笑いが零れる。
私と侑は似た者同士なんだよな。
「あ、A〜、何で侑くんとランデブーしてんのー?」
「いつの間にそんな言葉覚えたんだ彼方ァ!?」
「えー、アランくんから?」
「はぁ!?」と眉を寄せた私の横をすぎて、何かが侑の頭にクリーンヒット。
あぁ、治か。
ボール飛ばしたのね。
「待てや、この下手くそォォォ!!」
叫びながら追いかけっこしてるし。
「俺のAに近づくツムが悪いやろが!!」
「Aはお前のじゃないやろがァァァ!!」
「何か巻き込まれてるー」
次は私が呆れた目で双子を見る番。
いつまで経ってもあの双子は喧嘩するもんねぇ。
「よっす、アランくん。お久〜」
「お、Aか。...やっぱ成長したな」
「...ぱぱ」
「やめぃ。治があんなんになるのもわかる気がするわ」
「あー、私美少女でしょ?可愛いでしょ?自覚してるよ」
「それも凄いな。でも、彼方とそっくりやんか」
「うん、なぜかね」
双子無視してアランくんと喋ってると今度は彼方が
「あー、アランくんとランデブーしてるー」
とか言い出すから、双子の動きがピタリと止まってこっちに向いてきたじゃんか。
「おい、彼方!!いい加減にしろよ!?」
「てへ。だってA、おれのこと放ったらかしじゃんか。おれだってAと話したい」
「乙女か。家帰って話せるだろ」
「アランくんでもAに近づくのは許さへんで!?」
「ちょぉ、待て!?誤解や!!A、治止めてくれ!!」
「ガンバ」
「おい、Aー!?」
ギャーギャー騒ぐ声が響き渡る体育館。
でも、楽しかった。
いつの間にか、侑を嫌ってた奴らも笑ってたし。
あとから呼びに来た心夢も交じって、ぎゃーぎゃー騒いで、キャプテンに怒られて。
それでも楽しかった。
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早夜(プロフ) - パスワード消します。ぜひ2作目もご覧下さい。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 「setter」です。このパスワードは金曜日くらいまでだと思います。 (2021年5月31日 18時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
ののりんご(プロフ) - 教えていただけることは可能ですか? (2021年5月31日 16時) (レス) id: 3fd9f78cf5 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - パスワード変更しました。 (2021年5月31日 16時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
ののりんご(プロフ) - ありがとうございます! (2021年5月27日 15時) (レス) id: 3fd9f78cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2021年3月11日 18時