37話 ページ39
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「...何」
「何もあらへんよ」
「そう...」
にこりと笑う治に疑問が残るまま、英語のプリントに視線を下ろす。
けど、治の視線が痛い。
何でそんなに見てくんの。
「ねぇ、ホント何」
「Aは可愛ええなぁ」
「捻り潰すよ?」
何コイツ、そんなアピるやつだったっけ?
「A、今のところ誰が1番か教えてくれへん?」
「彼方」
「彼方以外で、や」
何でこんなにニコニコしてんの、変なもん食べた?
はぁ、とため息をついてシャーペンの蓋部分を治に向ける。
「治」
そう言うと、治の目がまん丸に見開かれる。
いや、聞いてきたの治だろ?
そんな反応されたら恥ずいわ!
「え、ホンマ?冗談やないよな?」
「私がそんな人に見えてるんですか」
「いや、見えへんけど見えてへんけど!!」
机叩くの止めやがれ、痛み苦しむやろが。
あと大声出すの止めやがれ、ただでさえお前らと話す度に目ぇつけられてんだぞ(女子に)。
「意外や、Aにとって俺はアリなんか」
幻覚だろうか、犬の耳とブンブン振られている尻尾が見えてるのは。
気のせいか?
と、
「Aー!!ちょぉ、コレ見てんッ!?」
侑が大声を発しながら私の元へ来た。
おい、彼方どうした。
置いてきたんなら殴んぞ。
「うるせぇ、侑。で何」
「何や、サムも居たんか。まぁええ、コレやコレ」
「失礼やつやな」
治と二人で文句を言いながら、侑に渡されたレースモチーフの便箋の中から紙を取り出す。
そう、手紙だ。
ラブレターでしょ、コレって。
内容は
『好きです。
付き合って下さい。
フったら雲雀田Aがどうなるかわかってるよね?』
という脅迫文。
「A、どうなってもええ?」
「侑は私が虐められても何とも思わんのか!?」
「何とも思わへんわけやないねん!!けど...」
けど、何?
何でそんな言いにくそうなの。
「A、ツムはAよりバレーが大事なんやと。コイツ殴ってええで」
「お、マジ?歯ァ食いしばれよ、侑」
「ちょ、何でや!?俺の気持ちを理解できへんのか、A!!」
「いや、私も侑とバレーやったらバレーをとる」
「ほら見ろ!!そんなら拳しまえ!!」
「やなこった」
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早夜(プロフ) - パスワード消します。ぜひ2作目もご覧下さい。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 「setter」です。このパスワードは金曜日くらいまでだと思います。 (2021年5月31日 18時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
ののりんご(プロフ) - 教えていただけることは可能ですか? (2021年5月31日 16時) (レス) id: 3fd9f78cf5 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - パスワード変更しました。 (2021年5月31日 16時) (レス) id: 0ff5d087c5 (このIDを非表示/違反報告)
ののりんご(プロフ) - ありがとうございます! (2021年5月27日 15時) (レス) id: 3fd9f78cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:早夜 | 作成日時:2021年3月11日 18時