人生やり直したいなぁって思ったけど、転生は望んでないです。 (ページ1)

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prologue ページ1

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「Aあんたアニメばっか見て！！宿題したの！？」

「終わった。アニメじゃなくてバレーね、バレー」

「バレーのアニメでしょうが！」

「これもきっと将来のためになるんだよ」

「あんた高2でしょ！？今から何になるの」

頬杖をついたまま、しばらく母と姉の口喧嘩を観戦する。

近くにあったクッキーに手を伸ばし、口に放り込んだ。

姉がバレー観戦馬鹿になってしまったのは私のせい。

中学生の時バレー部で、活躍しなかったんだけど、

高校は推薦が来たからそれで入り、県大会で優勝した。

その試合で魅せた、ファインプレーを姉が見ていたようで。

その日から

「私はバレーを観戦するために生まれてきたんだ」

とか阿呆なことを言う姉へと進化。

このクッキーうまい。

「彼方(かなた)も姉ちゃんに何か言って！」

「え、私？」

急に向けられ、クッキーが喉に詰まるかと思った。

「姉ちゃんさぁ、ソレもう五回目でしょ。そろそろ違うの見たら？」

「なんで！？カッコイイじゃん、及川さん！」

「全部の回に及川出てないよね？」

姉のハマったアニメというのは、『ハイキュー』である。

ハマりすぎなんだよ。

私でも一通りしか見てないわ。

「知ってる？国見んってあとから能力発揮するんだよ！」

「知ってるわ！私のプレーが似てるらしいからな！？」

青葉城西メンバーが好きなのか、姉は。

確かにイケメン揃いだからな？

「姉ちゃん、将来バレーに関わりたいならスポーツドクターか、トレーナーになったらいいんじゃない？どっちも大学出ないといけないけど」

「その手があったか！私、スポーツドクターなる！！ってことで部屋に籠ります」

「「え、マジで言ってる？」」

バンッと勢いよく立ったかと思いきや、自分の部屋へと駆けていった。

でもって、扉がバーンッと音を立てて閉められた。

呆然と母と顔を見合わせ、姉が籠り始めた部屋へと目を向ける。

「姉ちゃん、単純すぎ．．．」

「彼方もだけどね．．．」

「え？」

「ん？あ、そうだ。コンビニで牛乳買ってきて」

話を逸らされ、手のひらにはお金。

後ろには玄関扉。

追い出されました、彼方です。

ちなみに言うと、彼方という名は母が遥(はるか)だかららしい。

私は好きじゃない。

よく男子に間違えられるし。

「はぁ．．．人生やり直してぇなあー．．．」

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