音駒のイケメンさん ― 2 ―

67話 急なカミングアウトは止めていただきたい ページ27

◇








研磨のあげたトスを打とうとするリエーフ。


しかし、それは頭上を通り過ぎて行く。




そのボールを見て「今の惜しかったですよね！？」と声をかけるも。




「全然．．．」


「えぇっ！！マジすか．．．！？」





「はぁ．．．」






ため息しか出てこないんですけど。






「もう一回お願いしゃす！」

「．．．やだ」

「なんでですかぁ！！」

「だって、また空振るし」


「あ"．．．Aさぁぁん」







困り果てた表情でこっちを見てくるリエーフ。


仕方ないなぁ．．．。






「研磨、あと一回上げたげて。一応私リエーフ担当だし」

「．．．あと一回だけだから」

「！！あざッス！！やっぱAさんの言うことなら聞くんスね」






地雷踏んだよ、リエーフくん。




研磨の顔見なさい。


眉が寄っちゃってるよ。






「．．．リエーフの飼い主が言ってるから仕方ないじゃん。Aの言うことなら聞くってわけじゃないし」





ほらぁ、拗ねちゃったじゃないか。



こうなった時の研磨は結構面倒だかんな。


それもまた可愛いけど。









☆☆☆☆☆☆









夕方。



監督の「ここまで」という声で終了。





私は今日の分析をまとめないといけないので、監督のパソコンにカタカタ打ち込んでます。






なんか、後ろで揉めてる気がする。



振り向くと、リエーフを目の前に肩を落とす虎と福永とやっくんの姿が。




もう呆れられてんじゃん。


これがリエーフだからな．．．って感じだろうね。





その時、クロから集合との声が響いた。




まだまとめ終わってないのに。









「再来週の土曜日、近所の国平高校を招いて練習試合を行う！」


「この時期にですか？梟谷グループの合宿も近いのに．．．珍しいですね」





やっくんの言う通り、合宿近いからしなくていいじゃんってなるんだよ。





私、梟谷見に行ったりはするけど、直接アドバイスはしてないから選手に接触した記憶は一切無し。


マネージャーのかおりさんと雪絵さん、梟谷の監督から通じてアドバイスさせてもらってるし。





「で、だ．．．リエーフ。お前その試合出てみろ」



「ちょ、監督！？ついにボケが脳を支配しちゃった！？リエーフの安本丹な練習は記憶にございませ、痛ぇっ！」





言い終わる前にクロに頭を叩かれた。痛いんですけど、ものすごく。






「マジですか！？任せて下さい！！」




喜ぶリエーフ。


そりゃなぁ？


でもさ、私の仕事増えるじゃん。やだよ。

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