音駒のイケメンさん ― 2 ―

65話 灰色ネコを捕まえろ ページ25

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ピコピコとゲーム機を手に歩くという、素晴らしいテクニックを披露する研磨の横で、私は欠伸をした。







クロが後ろから着いてくるけど、クロとしか会話はない。



てか、研磨に話しかけても「うん」とか「そうだね」しか返ってこない。






だけど、会話がないこの時間も結構好きだ。








「ん？クロ研磨、先行ってて」

「なんで？」

「うぉ、話聞いてたんかい」

「うん。で、なんで？」








珍しく顔を上げて、私をじっと見てくる研磨。


別に話してもいいんだけど、被害が及ぶ人が居まして．．．。


クロ居るし。







「は、灰色のネコが居たかもだから捕まえてくる」

「リエーフ居たかもだから捕まえてくるんだね」

「以心伝心．．．！ 研磨のそういうとこ好きだよ」





「お前ら、黒尾さん居ること忘れんなー」






ギュゥッと抱きついてそう言うと「早く行ってきたら」と言う辛辣な研磨くんであった。





建物と建物の間の隙間から中に入り、右へ曲がる。







居たぜ、あの灰色。



うぉっ、走り出した！？





どうやら、捕まえようとした茶色のネコが、リエーフに気づいたらしく、走り出したのを追いかけているみたい。






リエーフ無駄に足長いから、走るの速い！！






いつの間にか、追いかけ回しているうちに、高校までやってきていた。





お目当ての茶色のネコちゃんは『都立音駒高等学校』と書かれた柱の上に。





捕まえようとして、リエーフは飛び上がる。







「あーあ、逃げんじゃねーの」






肩を落とし、ため息をついて、ネコを見ると、リエーフの腕の中に居た。






え、案外逃げない？

もしや、人馴れしてるネコ？？





と、その前に．．．





「リエーフ」



「あ、Aさん！おはようございます！！見てください、ネコですよ！！」






嬉々としてネコを見せびらかしてくるリエーフよ、私は心を鬼にして言うぞ。






「ネコ捕まえるんじゃねぇ！！一年は早く行かないとダメだろーが！！」


「あ、そうでした！じゃあ、このネコはAさんにあげます！！」


「は？いや．．．あの．．．おいリエーフ！！」






私の腕の中にネコが移動したのを見て、リエーフは部室の方に駆け出した。





いや、




このネコどうすんの？



お前が連れてきたんだろ？？






「ニャァ〜」



「うん、可愛いけどさ」






とりあえずネコを抱いたまま、体育館に向かうことにした。



リエーフ許すまじ。

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