56話 ページ9
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くるりと振り返った木兎は眼鏡の彼の方を向いた。
「あー！眼鏡くんさ！」
「月島です」
月島というのか。
そう言えば孤爪と日向が話していた時、若葉はその名を聞いたことがあった。
眼鏡ノッポが月島だった。
「月島くんさ！バレーボール楽しい？」
「……いや、特には…」
「それはさ、下手くそだからじゃない？」
なんて事を言うんだと若葉の頬が引き攣った。
木兎にとっては、ただ言っただけなのだろう。
深い意味なんてない。
思ったことをそのまま。
「俺は3年で全国にも行ってるし、お前より上手い。断然上手い！」
「言われなくても分かってます」
見れば戦えばわかる事実を突きつけられて、月島は少しイラついたご様子だ。
「でも、バレーが楽しいと思うようになったのは最近だ。
"ストレート打ち"が、試合で使い物になるようになってから」
全国五大エースなんて呼ばれる人でさえ、楽しいと思えるようになったのは最近だとは若葉は思いもしなかったから驚いた。
木兎でそうなら、兄はどうなんだろう。
ふと気になった。
「元々得意だったクロス打ちをブロックにガンガン止められて、クソ悔しくてストレート練習しまくった。んで、次の大会で同じブロック相手に、全く触らせずストレート打ち抜いた。その一本で、俺の時代キタ！くらいの気分だったね！」
ギラリと目が鈍く光る。
若葉はフッ、と笑った。
「───その瞬間が、有るか、無いかだ」
少しピリッと空気に圧が含んだことに月島は気づいたのか、息を呑む。
木兎はそんなことは露知らず、そのまま話を続けた。
「将来がどうだとか、次の試合で勝てるかどうかとか、一先ずどうでもいい。目の前の奴ブッ潰す事と、自分の力が120%発揮された時の快感が全て。
まあ、それはあくまで俺の話だし、誰にだってそれが当てはまるワケじゃねぇだろうよ。お前の言うたかが部活ってのも俺はわかんねえけど間違ってはないと思う」
ああ、恐ろしい。
性格は違うし、タイプも違う。
こんなにうるさくないし、こんなにポジティブでもない。
なのに、兄と同じような考えを持つ木兎に若葉は憎たらしいほど羨ましくてギリッと拳を握った。
そんな若葉が視界に入った黒尾は、仕方がないやつだなと眉を下げた。
木兎は月島の目を真っ直ぐ見て言い放つ。
「───ただ、もしもその瞬間が来たら、
それが、お前がバレーにハマる瞬間だ」
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
