55話 ページ8
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黒尾がブロックでワンタッチしたボールをいとも容易く若葉が拾う。
そこに来るとわかっていたみたいに。
木兎の眉間に皺が寄った。
「なんで全部拾うんだよ若葉ー！！」
『一応、私も音駒なんで』
「そう。俺ら音駒なんで」
ニヤニヤ笑いながら黒尾は若葉と肩を組んで木兎に見せつける。
木兎は悔しいようで、キィィ！！と叫びながら地団駄を踏んだ。
そんな主将に赤葦がドリンクを差し出せば黙って飲み始める。
さすがお世話係。黙らすのもお手の物。
若葉は、空になったペットボトルに入れたドリンクの蓋を開けて乾いた喉を潤した。
ふぅ、と息をつきながら首にかけたタオルで口元を拭く。
と、体育館入口に思いもよらない人物が立っていた。
「おや？」
「おやおや？」
「おやおやおや？」
烏野の眼鏡をかけた長身ノッポの子だった。
黒尾の横から顔をのぞかせている若葉を見て、一瞬だけ彼は驚いた表情を見せた。
「聞きたいことがあるんですが、いいですか」
「「いぃーよー」」
「すみません。ありがとうございます」
主将共の揃った声に思わず赤葦と顔合わせた。
気にしたらダメ、わかった、と目で会話をして、彼に向き直る。
「おふたりのチームはそこそこの強豪ですよね」
「ムッ、まぁね！」
「全国へ出場出来たとしても優勝は難しいですよね」
「不可能じゃねーだろ！」
「まあまあ、聞きましょうよ。仮定の話でしょ」
何を言いたいのか、なんとなく若葉にはわかった。
眼鏡の彼は言った。
「僕は純粋に疑問なんですが、どうしてそんなに必死にやるんですか？バレーはたかが部活で、将来履歴書に"学生時代部活を頑張りました"って書けるくらいの価値じゃないんですか？」
彼は先を視て言っている。
負けたら終わり。辞めたら終わり。
なのに、
どうして頑張るのだろうか。
どうして練習するのだろうか。
そんなの決まっている。
「"ただの部活"って────
なんか人の名前っぽいな…」
ピシャンッと木兎の頭の中で閃いた衝撃が走る。
それに黒尾もおぉ、と声を上げた。
「タダ・ノブカツ君か…！いや待てちげーよ！たかが部活だよ！」
「ぐあぁ！？そうか〜ッッ。人名になんねぇ〜、惜しかった！」
若葉は思わず主将共に呆れた視線を送る。
突っ込みたくなるが、
「…突っ込んだ方がいいですか？」
「いいよ。キリがないから」
と赤葦が言ったのでスルーすることにした。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
