54話 ページ7
．
黄色の目敏い梟のような瞳。
じっと見つめられたかと思えば、ニッと笑みを浮かべた。
「若葉、俺のスパイク見に来い！！俺の凄さを見せてやるぜ！！」
『遠慮させていただきます。先約がございまして』
「そんなこと言わずにさぁ！！さぁさぁ！！」
『ちょ、木兎さん！？』
スッ…と躊躇いもなくお腹に腕を回されたかと思えば、急に足が宙に浮く。
いつもの目線より少し高いのに気づき、担がれたのだと理解した。
『いや、先約があるって言いましたよね今』
「黒尾もいっから！あ、もしかして2年がいる方がいいのかー？安心しろ、あかーしもいるぞ！！」
『そういうことじゃない！下ろせ、そして話を聞け！』
「ちょっと揺れるかもしんない！ごめんな！」
『オイ梟谷！！こいつを止めてくれ！！』
木兎に軽々と担がれて誘拐されていく若葉の姿を見た日向、影山、谷地は固まった。
影山なんて放物線を描いたボールをセットしようとしたタイミングだったためか、頭にボールがポテ、と落ちてきていた。
日向は思った。
「若葉さん、怒るとああなるのか」
「あの人の素は口悪いぞ。いつもは猫かぶってるだけだ」
「で、でも、若葉さんは優しいよ！？」
「中学ん時、若葉さんが言ってた。人と上手く取り引きするには優しい口調で話すのが一番良いって」
「「……」」
人と会話する、ではなく、取り引き。
人当たりの良い性格をしていて話しかけやすいと思っていたら、まさかそんな裏があったとは知りたくもなかった。
日向と谷地は頭をブンブン横に振って忘れることにした。
一方、第三体育館では。
若葉を担いできた木兎を見た黒尾が瞬時に、若葉を下ろすように叫んだ。
「木兎お前、前科ありだかんな。若葉に何かあったらウチの夜久と研磨が何すっかわかんねーぞ！！」
「だって、若葉に断られそうだったんだもん」
「だからって、無理やり連れてくるのは良くないです」
「あかーしまで……若葉、嫌だった？」
皺が寄ったTシャツをパンパンと手のひらで引き伸ばし、しゅんとした木兎に目を向ける。
木兎のしゅんとした姿しか見ていない気がする。
『いきなり担ぐのはやめてください。殴りそうになります』
「わかった！いきなりすんのはやめる！」
黒尾と赤葦は突っ込むのを放棄した。
赤葦がトスを上げて木兎がスパイクを打ち、それを黒尾がブロックし、零れたのを若葉がレシーブで拾う。
それを繰り返していた時だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1380人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
