92話 ページ45
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日向がバックアタックで点を取っても、ウシワカの一撃でまた振り出しに戻る。
デュースに持ち込んだこの時間が一番きついのではないだろうか。
けれど、月島がワンタッチで繋いだり、西谷が拾ったりしてスパイカーが気持ちよく決められていない。
そのことを誰よりも感じているのはスパイカーではなくセッターである。
白鳥沢のリベロがチャンスボールとレシーブする。
ほんの僅かな苛立ちと焦り。
それらから生まれる綻びを、彼が見逃すわけがない。
少しネットに近くて、少し低いトス。
若葉は笑った。
なんて怖い後輩だろうか、と。
ウシワカが左腕を振るった瞬間。
月島の手に阻かられる。
ドシャット。
「シャァァァァァ！！」
今の気分はどう？
あの時の君に言ってあげたいくらいだ。
君は充分バレーボールが好きで、楽しんでるって。
『サイコーだよ、ツッキー』
期待に応えてくれた月島を満面の笑みで見つめた。
及川は「このことかよ」と答え合わせができたようで、わからなかったことが少し悔しかったのか、顔をしかめていた。
『私も、バレーにハマる瞬間が来てほしい。きっと挫けてもまた立ち直れるんだろうなって思うから。私は、心が弱かった。誰かに何かを言われたくらいで折れてしまうくらい』
淡々と、単語を並べただけみたいに言葉を紡いだ。
及川はそんな若葉を横目で見ながら、試合を眺める。
「お前はウシワカに比べられてきて、他の人の倍は努力してた。その事を知らない奴の言葉なんか、何で気にしてんのかよくわからないね」
『及川さんは本当に兄さんが嫌いですよね』
「うん嫌い。俺らが負かしたかった」
即答。
若葉は言った。
『私、心の底から兄さんを嫌いになれないんです』
「だろうね」
『憎いとは思います。羨ましいとも。だけど、嫌いにはなれない。もしも兄さんがただの兄さんだったらって考えたこともあります。自分でも思いますよ、最低な妹だって』
及川は、ふと思い出した。
いつだったかウシワカが言っていた。
「妹は、努力を惜しまなかった。俺は妹のようにはなれない」
ウシワカなりの褒め言葉だったのだろう。
そして、ウシワカはその事を自分に言い聞かせるかのように言っていた。
何があったなんて興味もない。
けれど、人に左右される人生なんて若葉に歩んで欲しくなくて、お節介だとわかってても及川は口を開くのだ。
「兄妹喧嘩なんて当たり前だろ」
それは長い長い兄妹喧嘩。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
