81話 ページ34
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しんと鎮まった空間。
呼吸音が聞こえる。
孤爪はゆっくりと口を開いた。
「…これはおれの独り言だから気にしないで……若葉は若葉だよ。作り笑顔は苦手だけど頼りになるし、いい所は沢山ある。多分ウシワカに負けないくらい」
『…多分て何。そこは絶対ていうところでしょ』
「絶対ウシワカに負けないくらい、若葉はいい所が沢山あるよ」
『例えば？』
孤爪は目を泳がせた。
そもそも独り言だって言ったのに会話が成立してしまっている。
「えっと、おれによく話しかけてくれるし、リエーフとかの面倒もよく見てる。観察力と分析力に長けてて、おれもクロも頼りにしてる。海くんも夜久くんも最後に頼るのは若葉だし、福永も若葉とよく喋ってる気がするし…」
『それで終わり？』
若葉の声が体育館に響き、孤爪はその言葉にゔ、と喉を詰まらせた。
うーあー、と口を閉じたり開いたりして、ふと呟いてしまった。
「あと、若葉は感情を隠すのが上手だよね。辛くても苦しくても我慢してる」
やってしまった、と孤爪は冷や汗を垂らす。
これはいいところではない。
改善してほしいところを思わず口にしてしまった。
肩越しに後ろに視線をやれば、若葉の目元が手で覆われていてギョッとした。
まさか泣いてる？え、あの若葉が？そんなことがあるだろうか。いや、人間だからあるだろうけど、あの若葉が？？
孤爪は混乱した。
『もちろん兄さんは自慢だよ、自慢だけどそれよりも憎らしく思ってしまう。悔しくて悔しくて情けない。せっかく夜久先輩に私は強いって認めてもらえて、少し救われた気分になってたのにまたコレだ。いい加減にしろよ、私の感情。馬鹿野郎』
どうやら自分自身に怒っていたらしい。
孤爪は少し安堵した。
「いいんじゃない？今まで言えなかったんでしょ。いつでも聞くから溜め込んだらダメだからね」
『情緒不安定になるの、本当にやめたい』
「そのせいでバレー辞めたようなものだからね」
肩を竦めて言えば、ガバッと若葉が起き上がった。
そして、ステージから飛び降りて来る。
『私、もしかして病気なのかな』
「情緒不安定の病気なんて知らないよ。クロなんて毎日、情緒がおかしいよ」
『なら違うか』
「うん。クロより若葉の方が正常」
『それなら安心だ。ありがとう、研磨。追いかけてきてくれて』
薄暗い体育館の中、窓から入る日差しのみ。
反射して光るその瞳が綺麗だった。
そして、作り笑顔じゃない笑みが見れて孤爪は嬉しく思ったのだ。
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早夜(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！ぜひ追ってください…！あれ51話が2つありますね？？修正します！教えて下さりサンキューです！ (2月28日 15時) (
レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 続編ありがとうございます！！！！ずっと追わせていただきます！！！…51話が２つある事が気になっているんですが… (2月28日 15時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - 冴凪りつさん» ありがとうございます！ちょっと入れるはずのなかった話を入れてしまい、代表決定戦まで入るか心配になってきております。更新頑張りますね！楽しみにしていて下さい！！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
早夜(プロフ) - ふみさん» お待たせしてすみません！ガンガン更新する予定ですので楽しみに待っていただけると嬉しいです！ (2月27日 22時) (レス) id: f5ec9a9fb0 (このIDを非表示/違反報告)
冴凪りつ(プロフ) - 続編待ってました!!これからの展開すごく気になります!!更新楽しみに待ってます！ (2月27日 21時) (レス) id: c52178a352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早夜 | 作成日時：2024年2月26日 14時
